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今日も金沢にいる。金沢21世紀美術館の人が僕の家を招いてくれたので敷地の心配をしなくていい。お勧めされた金沢市民芸術村とか長町の武家屋敷跡とか散歩してまわった。結構寒い。今日も北國新聞社とテレビ金沢から取材が来た。
テレビ金沢のリポーターとのやりとりで
「これまで生活してきて何か気がついたことはありますか?」
「僕の家は家というより、ただの寝室なので、他のトイレとかお風呂とか洗面とか一切の機能は町に依存します。でも考えたら普段の生活でも依存しあって生きているのって当たり前で、それが1つの家に集まってるからわかりにくくなってるところがあると思います。自分の家の蛇口をひねると出てくる水は、自分で集めた水じゃないし、ガスも電気も誰かが作ってくれたのを使ってるだけで、そういう依存しあって生きてるってことが、この生活をしてるとよくわかります。」
って答えたら。
「ありがたみが分かるっていうことですか?」
と言われた。「そんな感じですねえ」って答えてほしいんだろうなと思いつつ
「っていうより、依存しあってるのがよく分かるっていうことです」
と言い直した。最近気がついたんだけど、いかに理解から逃れ続けるかが考えさせるのをやめさせない鍵なのだ。
夕方、美術館から21美の人の家に移動するとき、子供に囲まれて
「ヤドコウモリだ!」
と連呼された。
「ヤドコウモリって何?」
って一人の子に聞いてみたらなかなか答えてくれない。子供は集団では騒げるし、気持ちが大きくなって絡んでくるけど一人になると萎縮しちゃう。しばらくしてもう一回聞いてみたら
「妖怪ヤドコウモリ」
って答えてくれた。もうこんだけの数の子が騒ぐ妖怪といったら1つしか無いと思って、妖怪ウォッチについて調べてみたら「ヤドコウモリ」っていうレアな奴がいた。家からハネと足が生えてて「キャラ被せてくるんじゃねえよ」って思った。
夕方、家のおばあちゃんが夕食に招いてくれた。息子二人と4人で食卓を囲んだ。息子二人は母親の現代美術の仕事を「なにやってるんだかよくわからない」みたいに見ていてちょっと意外。おばあちゃんは
「最近はへんな理由での殺人事件が本当に増えてるから気をつけなさい」
って言ってくれた。そういう話はよく聞くな。他に色々話したけど、こどもを育てる時の話で
「家や財産なんかいらない。体に技術を覚えさせれば後から役に立つから」
と言ってたのが印象的。