0819/村上の家(宮城県気仙沼市本吉町)
南三陸町から気仙沼市本吉町へ移動。去年と全く同じルートを辿る。
南三陸の人たちが
「いってらっしゃーい、は違うか。また来年〜」
と言って送り出してくれた。
去年、道端でコンビニの冷やし中華をくれたおばちゃんとその娘さんがいた。今年も連絡をとってみたら、また同じところで再会して、同じ冷やし中華をくれた。おばちゃんが「たらすもづ(たらし餅)」という黒砂糖とクルミが入った甘い餅もつくって持ってきてくれた。
20キロくらい歩いて、本吉町の「はまなすの館」という、公民館や図書館などが入った建物に着く。受付で「去年もきたんですが、今年も敷地を貸してください」とお願いした。去年と違う所長がでてきて「去年もきたという実績があるみたいですから」と言って快諾してくれた。去年と全く同じ場所。公衆トイレのそばに家をおいた。
トイレと洗面台は公衆トイレがすぐ近くなので困らない。すぐ近くの図書館に行けば机もあるのでデスクワークもできる。漫画もすこし置いてある。
道路の向かいにはスーパーがあるし、コインランドリーもある。とても便利な敷地をだけど、お風呂場がない。10分ほど歩いて本吉駅までいって、BRT(震災で壊れた線路を道路にして、そこをバスで走る公共交通システム)で最知駅まで行く。そこからすぐのところに「ほっこり湯」というスーパー銭湯がある。深夜一時までやってて、880円。ここにも漫画が置いてある。
寝室の床下はアスファルトなので寝心地は良い。ただし、まわりは芝生なのでたくさんコオロギがいる。このコオロギ、遠くで鳴いてるのを聞く分にはとても風流で良いのだけど、耳元から20センチくらいのところで鳴かれると結構うるさい。寝付くのに支障が出るレベルの騒音で、まいった。だけどちょっと前に人からもらった耳栓が活躍して、無事寝ることができた。
ラジオを聞いていて強い違和感に襲われる。ニュースの内容と、パーソナリティーの声やBGMの取り合わせが、なにか間違ってるきがする。鹿児島の原発が再稼動した。「経済的に潤うからしかたない。原発は地場産業だ」と話す人たちがいる。しょうもない話題にたかってネット上で盛り上がってる人たちもいる。顔が見えないコミュニケーションだけで世界が回っている、という錯覚。何故みんな以前と同じように生きていられるのか。考えていられるのか。みんなが、再び幻想の世界に戻っていく。僕はといえば悔しいけれど、怒りと裏返しになった強い孤独感。無力感。不安。さみしい。苦しい。このナイーブさも自分の中にどうしようもなくある。これも認めざるを得ない。最近虫の視点を借りることを覚え始めた。いつも下を見ると、なにか虫がいる。おなじ空間にいるんだけど、違う世界を生きてる。