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新岡山港から18キロくらい歩いて、早島という町にはいった。歩くのが久々なのと、家の屋根が立派になった分重くなったのでとてもしんどく感じた。途中、二組くらいの人から「村上さんがんばって~」と声をかけられた。絵本を見たのかラジオを聴いてたのか。
岡山も神戸も、山と瀬戸内海に挟まれてる東西にのびた地域だけど、岡山は神戸よりも幅が広い。神戸は電車の駅の出口で「山側・海側」という言い方をしていたけど、岡山ではこの言い方はできなさそう。坂が多いところは似てる。
早島という町には、歴史の古そうな旧道を歩いていて辿り着いた。旧道はたいていどこも、道幅の割に車の通行量が多いくせに歩道がなかったりするので腹立たしい けど、ここの街並みは素敵だった。 道の南側にある美容室から孫らしき子供を抱えたおばちゃんがでてきて「なにやっとるん」と聞かれたので色々説明したら「すごいな~」という反応だったので、「このへんにお寺ないですか?寝る土地を探してるんです」と聞いてみたら、いくつか教えてくれた。
一軒目のお寺は最近建て替えたばかりらしく、綺麗で立派なお寺だった。境内にチ リ一つ落ちてなかった。でも
「ちょっと厳しいですね。固定資産税かかっちゃうんで。お寺は普段は固定資産税 かからないんですけど、人に貸してしまうと借地になっちゃって固定資産税がかかっちゃうんですよ。だから無償でっていうのは厳しいです。」
という謎の理由で断られた。こういうのは初めて。
二軒目のお寺は
「ちょっとうちは厳しいなあ。境内地だから。うち個人の土地じゃなくて、檀家さんの土地だからね。すいませんが他をあたってもらえますか」
と断られた。この断られ方はたしか京都で経験がある。
他に3つ神社があったけど、どこも人はいなかった。
結局その周辺では見つけられず、美容室のおばちゃんと別れて、もう少し歩いたと ころの丘の上にもう1軒お寺があった。ちょうど犬を連れて境内を歩いていたお寺 の人らしき女性がいたので交渉してみたら
「どこでもよかったら、このうえにちょっとした広場があるのでそこならいいですよ。」
とすんなりOKをもらえた。 たすかった
家を置いたら汗だくで、なんとしてもお風呂に入りたかったのでグーグルマップで 銭湯を検索してみたら、一番近いところで5キロ離れていた。なので早島駅から電車で岡山駅に行って、岡山駅近くの銭湯に行くことにした。
夕方岡山駅についたら、ホームにたくさん人がいて意表を突かれた。外国人旅行客 も大勢いる。さっきまで電車から見てた田園風景が嘘みたい。駅の外に出てみると、高層ビルがたくさんあって都会的なんだけど、駅の裏側(西側)に建ってる高層ビルの隣に取り残された民家が残ってた。
岡山駅前の東側のスペースはバス乗り場になっていてもったいない。行きたいところに全然行けない。ここを広場にして人が行き交っていたらとても素敵な場所にな ると思う。腹が立つ。
西側出口を出て、すこしあるいたところに「ときわ湯」っていう銭湯があったので 入ったのだけど、これが大正解の最高スポットだった。入り口でチケットをかっ て、おばちゃんに渡して待合室に入るのだけど、まずそこが待合室らしくない。大 きなカメラとかマイクとか、やたらと機材が置いてある。そこでご主人がパソコン で図面らしきものをひいている。 風呂場に入って、最初は普通に体を洗ってたのだけど、気がついたら鳥の声がした ので「鳥の声をスピーカーで流してるんだな」と思ってふと顔を上げて鏡の上をみ たら、そこに緑豊かな渓流が現れていた。一瞬理解できなかったけど、プロジェクターだった。浴室の壁面にプロジェクターででかでかと渓流とか、山とか、海とかの映像を投影していた。それで鳥の声が響いている。
ペンキで絵が描いてある銭湯 とか、サウナにテレビがある銭湯はたくさんあるけど、プロジェクターで映像を投 影している銭湯は見たことがない。「やべー銭湯に入ってしまった」と思って体を洗って、お湯につかってからしばらくしたら突然、緑豊かな渓流の映像が終わって「ときわ湯オリジナルカラオケ 女将 バージョン」という字幕がでてきた。そのあと、さっき入り口に立っていたおばちゃんが、ときわ湯の待合室らしきところでマイクを前に立っている映像に切り替わった。そんで演歌風のメロディーが流れ始めて、おばちゃんが歌い出した。歌がうまい。 しかもこの歌がときわ湯オリジナルらしく「この銭湯(みち)はじめて 幾年すぎた~」みたいな歌詞だった。3番か4番くらいまであって、歌い終わったら、また 緑豊かな渓流の映像が流れ始めた。 これだけの体験ができて420円。ベスト銭湯更新。
トイレ、洗面は家から歩いて10分くらいのマルナカを使った。