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遊園地の無料休憩所の野外席に座ってる。僕がパソコンを開いて日記を書いてるすぐ隣で「土日祝限定イベント・にがお絵500円」と看板を出して男の人が座っている。女の子2人組が「2人で一緒でもいいですか?」と話しかけた。「一緒でもいいですよ。20分くらいかかるけど」「大丈夫です」「じゃあそこに」とやりとりしている。
1人の女の子が「ほうれい線は描かないでください」と言った。「ほうれい線は書きませんよ。だいたいおばあちゃんのしわも描かないんだから」「あ、やさしい」「やさしいでしょ」とやりとりしている。遠くから動物園の猿の雄叫びが聞こえる。
30日、道の駅「きらら」をお昼頃出発。南西の方向へ。宇部市の中心を目指す。道中、おばちゃんに「カンパ」と言われ1000円もらう。13キロくらい歩いたところに「ときわ公園」という公園がある。そこは割と歴史が古い彫刻展「宇部ビエンナーレ」の会場でもあって、常時野外彫刻もたくさん展示してあって土屋先生の作品もあるとのことだったので寄っていこうと思い向かった。ときわ公園に入る交差点を右にまがってすぐに、ピンク色のポロシャツを着た男性に「すいません、この先にときわ公園ていう公園があるんですが、今日そこに泊まっていただけませんか?」と話しかけられた。まさか公園の方から来るとは考えてもなかった。「公園の方ですか?」と聞いたら「そうです。うちの局長から村上さんの捜索命令が出てまして、ぜひうちに泊まってもらえとのことです」と言う。奇特な人がいるもんだなと思った。僕は彫刻を少し見て、あわよくば「同業者です」と言って敷地も貸してもらえたらと思ってたけど、さすが彫刻公園なだけあって理解のある面白い人が内部にいるらしい。彼によるとときわ公園は東京ドーム何十個分クラスの大きな公園で、24時間あいてるし、夜中もポケモンGOプレイヤーがすごいらしい。「しばらくピカチュウがいなくなってたらしいんですけど、最近また帰ってきたみたいだからな~」と言ってた。ときわ公園にはピカチュウがいるらしい。
「なので寝るところは夜ゲートが閉まる遊園地がいいと思います。」と言われ、家は遊園地に置くことになった。
彼がときわ公園内を車で案内してくれた。湖を内包した大きな公園で、遊園地の他に植物園や動物園もある。来年開催される宇部ビエンナーレの公募で集まった模型展の直前で模型が展示された部屋をちらっと見た。
それで遊園地に家と一緒に戻った。家は「ときわの森ホール」という建物の軒下に置いた。ここは17時に閉まる。「あのオレンジ色の服着た人が遊園地の人だから。あの人たちがいなくなったらもう誰もいません。」
夜になって、BGM(ユーミンとかが流れていた)が止まり、照明も落ちて暗くなった。誰もいなくなった。もともと客も少なかったけど。誰もいない遊園地は不思議と綺麗だった。回転が止まった観覧車とか止まった小型のモノレールとかが佇んでいてとても静か。大きなものがすぐそこにあるのに音がしないのは不思議だった。
お風呂は徒歩30分くらいの「カッタの湯」という温泉施設。980円で温泉と食事がセットでお得感がある。
翌日、広島から「宇宙人アーティスト」の「美音異星人」が訪ねてきてくれた。
彼は今年広島に滞在した時に知り合った面白い宇宙人で、地球人の時は絵画教室を広島でやってる。美音星から来た宇宙人で、美音星は重力が地球より小さい(というか無いらしい。社会的なしがらみとか、著作権とかも無いらしい)星なので「アーティスト養成ギブス」というものを全身につけて地球の重力になれる訓練をしている。最近は「われわれも宇宙人である」というテーマで制作していて、今回の訪問はのちに映像作品としてYoutubeにアップされるらしい。美音さんの他にマネージャーが1人と「ピンクダンサーズ」(美音異星人と一緒にパフォーマンスをしている人たち)が1人来て、4人遊園地の園内とか公道に出ていろいろ撮影した。美音さんがカセットコンロと鍋を持ってきていて、僕の家の中で鍋をやったり。美音異星人は美音さん1人だけど、撮影は他の2人が積極的にアイデアを出したりして、美音さんはトップにいるというより、3人がそれぞれ平等に権利があるチームという感じだった。
美音さんはお昼すぎまで撮影し、広島に帰っていた。また夜になった。遊園地はまた誰もいなくなり、静かで動かなくなった。僕はまたカッタの湯に。(カッタというのは昔ここらで有名だったペリカンの名前らしい。)