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昨日、お花茶屋駅前のマクドナルドにいたら隣の席で何かのドライバーの仕事の面接をやっていた。面接してる方はたぶん40代くらいの男性で、面接を受けている方は50代くらいの男性。とってもよく喋る面接官だった。面接官が話している途中で面接を受けている男性も話をし始めて、面接官は一通りそれを聞いたあと「話をしてる最中に割って入ってこられちゃうと困るんで、まずは話を聞いた方がいいと思いますよ」と怒ってた。面接を受けている方の男性は「すいませんでした」と言っていた。
僕は僕で今日初出勤。確か4年前の4月か5月にも上野公園に来て、公園の植え込みの石に座りながら清掃員のアルバイトの面接を受けていた。また上野に戻ってきた。今回は3月まで働く。年末にミスタードーナツで面接をした。パチンコ屋の開店前の清掃員のアルバイト。色々な環境に身を置くことは大事だと思っているけど、また清掃員のバイトを始めてしまった。またここに戻ってくるとは。前回は四谷の小さなビルを一人で清掃する仕事だったが今回の仕事は開店前の店を10人くらいで清掃する。
朝8時前に店の裏口に集合。何人かは話してるけど、多くの人は一人で立って開始を待っている。やがてシャッターが開くと同時に全員が無言のまま中のゴミを外に出す。そんで中に入るとすぐにみんな散り散りになる。全員が全体のタスクをわかっていて、そのなかで自分のやるべき仕事もわかってやっているんだろう。僕は今日が始めてだったので、リーダーの人についてまわって色々教わりながら作業をしていったけど、今日までのあいだ毎日この作業がこの店で行われていて、その過去の積み重ねでこの無言のうちに仕事を分担してやるチームワークが出来上がっているのだと思ったら、しかも上野のパチンコ屋はこの店だけじゃないと思ったら気が遠くなった。ほんとマジでいろんな仕事があるなと思う。僕はたぶん小さい頃から、小さな単位で自分がイメージできる範囲の数でしかこの社会の集団を考えられないような癖がついてしまっていて、(というかこれはみんなにも共通している癖なのか?)あたりまえのことかもしれないけど、自分でこうやって働いてみないと、電車に乗っている仕事に向かう人とか、街を歩いてる人とかみんながなにかしら労働をしているとは頭ではわかっているんだけど、実際に人がそれぞれの労働をこなして生きているイメージがうまくできない。
それにしてもしかしこの国は人口が多すぎて、社会が「全体で生きてるかんじ」みたいなものはもはや誰もイメージできないんじゃないか。カッパ師匠になった一郎さんが静岡でつくったお茶と大豆を送ってくれて、とっても嬉しくて一晩飾ってから家族で飲んだのだけど、お茶には小論文のようなものが付属していて、そこに「みんな食べ物が必要なのにほとんどの人は食べ物をつくっていない不思議」と書いてあって、確かにそうだなあと思った。でもみんながみんなして食べ物を作る必要がなくなったから車ができたり大量の電気がつくれたりファミレスができたりコンビニができたりしたわけで、しかしいまは人口が多すぎて訳がわからなくなってるんじゃないか。全てのシステムとか制度とか、物とか料理とか交通機関とか電気とかは、人がつくっているものだということをイメージできないくらいわけがわからなくなっているので、色々やばいことになっているんじゃないか。全体をイメージできないと、思い込みで怒っちゃったり悲しんだりして、変な大統領を選んじゃったりしそうだ。MUSEもhow can we win when fools can be kings?と歌っていた。
「縫い目」のように考えるのがやっぱり僕にはわかりやすくて、見えていない部分も糸はつながっていて、表に出たり裏に引っ込んだりするから縫い目は強くなる。縫い目のようなものとして世界を直感で感じる。一郎さんも言ってたけど。直感。きたえんといかん。
人口1億2千万人の全体と違って、今回のパチンコ屋はそんなに広くなく、人数も10人くらいなので誰が何をやっているのかはなんとなくわかる。みんなお互いになんとなくわかりながら、誰もやってないところをモップがけしたり拭いたりしている。台を拭く、モップをかける、掃除機をかける、ゴミを拾う、球を拾う、トイレを掃除するなどの仕事を無言のうちに分担してやっている。これをやったらみんなが助かるだろうとか、これはもう誰かがやっているだろうということをみんなイメージできている。しかしこれが1億人になったらと思ったら恐ろしい。
リーダーの人が金沢21美の黒澤さんに雰囲気が似た女性で親近感がわく。「人間の脂はすごいんですよ」「人間の指紋」「人間は面白いよー」ということをよく言っていた。わずか1時間半の労働だけど、やってる最中は長く感じた。終わってみるとあっという間だと思った。明日も仕事。
それにしても文章をかくというのは、草むらのなかで逃げ回る蛇を捕まえるような感じで、尻尾のようなものを見つけたらすぐに捕まえないとどっかに逃げていってしまって見失ってしまう。