3月26日(5日目)

いま思い返しても昨日の最後の講習は、不眠症の人をいまこの教室にどんどん送り込めばいいのではというくらいの破壊力だった。

こっちにきて毎日お風呂に入っている。ホテルだと不思議とお風呂にはいるのがおっくうじゃなくなる。それと、どうやら洗濯物のなかにティッシュが入っていたらしく、洗濯したすべての服に細かい白い紙がこびりついていて、それをぱたぱたとはたいて落としたら、ホテルの部屋の床が紙くずだらけになってしまった。それをひとつひとつ拾うことはしない。なぜならここはホテルだからだ。掃除機が備え付けてあればやったかもしれないけど、無いし、大変申し訳ないけど清掃の人にお任せすることにして、ゆかを紙くずだらけにしたまま部屋をでた。帰って来たら紙くずは綺麗サッパリ無くなっていることだろう。ざまーみろ、と誰かに言いたい気持ちだ。昔誰かに聞いた話だけどホテルの清掃はかなりシビアで、浴室に髪の毛一本残っていてもいけない。たぶん次ここに帰って来たら、自分の髪の毛とか、ゴミとか、紙くずとか、そういう生活の副産物みたいなものはきれいさっぱり取り去られているだろうけど、荷物とか服とかはそのままの場所に残っている。ホテルでは清掃の人の気配と一緒に生活することになる・・。

昨日、もうバスには乗らんぞと言ったばかりなのに早速バスに乗って学校に来た。なぜなら朝が早かったからだ。8時10分開始の講習の1時間前までにご飯を食べてホテルを出られるようなフィジカルではない。今日の朝ごはんは、ご飯と味噌汁とソーセージと卵焼きとサラダと、あとハンバーガーっぽいものもあった。僕はハンバーガーを間食用にかばんに入れた。カバンの中には、昨日の晩御飯でついてきたシュークリームも入っている。

8時10分からの50分は運転教習だった。今日から29日までは学科教習は無くて、ひたすら自主勉強と運転教習と模擬テストの毎日になる。あの拷問のような学科教習からいっときでも解放されて清々しいけど、ツッコミ先がなくなったぶん少しさみしい。百地さんは。31日以降の第2期の学科教習でも教鞭をとってくれるんだろうか。

09:27

昨日話したこの魂の墓場で唯一の人間である彼のアドバイスもあり、さっきはじめてパソコンで模擬テストを受けて来た。これを二回合格しないと仮免許試験が受けられないらしく、100点満点の90点以上で合格、1問2点で50問出題。僕は96点だった。二つ間違えたのだけど、ひとつは子供のシルエットがうつっている青い標識を、「この先に幼稚園などあり」という標識と間違えてしまった単純なミス。本当はこれは横断歩道を意味していて、幼稚園などを意味する標識は色が黄色で形も少し違う。子供のシルエットはほとんど同じだけど。この問題は納得できる。もう一つ間違えたのが、「自動車が一方通行の道路から右折するとき、あらかじめ道路の中央に寄り、交差点の中心の内側を徐行しながら通行する」これを○としてしまったのだけど、正解は×だった。「道路の右端に寄り」が正しいらしい。もうこんな問題ばっかりだ・・。こんなクソみたいなテキストをちゃんと読み込むなんてことはしたくないけど、合格のためにはこんなクソみたいなテキストでもちゃんと読み込んでどこにひっかけがあるか注意しないと、「運転免許」は取れないらしい・・。運転免許を取るスキルとは・・。

テストの後すぐ、もう一回運転教習を受ける。朝の時と同じく、例の77歳のおじちゃんだった。コーヒーは今は年寄りも飲むようになってるでな。コーヒーは水が大事だ。という話などをした。

運転教習のあと、すぐまたもう一回模擬テストをうけた。90点。ぎりぎり合格。不安だ。もうちょっと自主勉強した方がいいだろうあのクソみたいなテキストを読むのは本当にストレスだけど。あんな、ほとんど罪みたいなテキストを読ませているくせに作った人たちは罰をうけることはないだろう。だいたい警察官という人種はほとんどの場合、見識が偏狭なくせに思い込みが激しくて、そのくせその狭い見識における正義感は人一倍強いというサイコーに美しい人たちなので、書く文章が実に美しいのも納得だ。警察官が書いてるかどうかは知らないけど。

ホテルに帰って来たが、紙くずはまったく掃除されていなかった。どうやら部屋の掃除は曜日が決まっているらしい。バスタオルとか歯ブラシとかのアメニティだけは交換されていた。朝と全く同じ位置に同じ量の紙くずが散らばっている。でも明日こそは掃除されているはずだ。

帰ってきて、すぐにアマゾンプライムに入会(30日間無料とのこと)して「シビルウォー キャプテンアメリカ」をみてしまった。ブラックパンサーの映画評をiPhoneで聴きながら帰って来たせいだ。先日みたブラックパンサーに繋がる話が描かれているという情報をキャッチしていて、これはみておかねばと思ってみたのだけど、結果的に、ブラックパンサーがどれだけ新しい地平を切り開いてくれたかがよくわかった。もう何が正義で、誰の理想が正しいのか全然わからない状態で仲間割れしていて、客観的に見るとみんなかっこ悪い。みんな弱い人間で、そのくせとんでもない力を持ってしまっていて、わかったようなふりしてるけど実はただのエゴだ、という状態のどん詰まり状態。現実世界もいろいろなところで分断がおこっているけど、完全にその動きとリンクしている。映画の中では、分断しているのは国や民族ではないけど、ここに登場する超人たちはみんな軍事力みたいな力を持っていて、その力を、みんなで復讐に使ってしまっていて、そんななか「俺は復讐のしもべになならない」と言ったブラックパンサーはやっぱりひとつ飛び抜けている。映画の中の話だけど、マーベルが一つの理想を見せてくれようとしてるみたいで泣ける・・。こうなってくるとホームカミングもエイジオブウルトロンもドクターストレンジも気になってくる・・。

これからあの美しいテキストに向き合って勉強しなければ。このテストをやっていると、建前はこれでしょ?という感覚を鍛えられる。トランプみたいな大統領が誕生してしまうような状態なのでこれはこれで大事かもしれない。

Posted by satoshimurakami