07171438
キムさんは、日本領事館が敷地を貸すことはできないと言われたとき「びっくりした」と、本当にびっくりした様子で話していた。仮にそれが市の事業でも、日本では役所に寝たりするのは無理だと思うといったら、理解できないと。昨今の公園のベンチなんかをみると日本では寝るというか人が公共の場で横になることに対する無意識でほとんど生理的な拒絶反応がある。
昨日釜山博物館をお昼過ぎに出て、2時間で8キロほど歩いて噂の「ヘウンデ」近くの釜山市立美術館に家を移動させた。美術館には広い庭があって、デニスオッペンハイムやアンソニーゴームリーのパブリックアート。また本館とは別に「李禹煥空間」という、リーウーファンの「関係項」シリーズや広い画面に幅の広い刷毛で一点だけペインティングするシリーズなどの作品が集中的に見られる二階建ての建物があって、僕の家はその建物の前、同じくリーウーファン先生の野外作品の近くに置かせてもらった。市立美術館の館長さんからは、アーティストの村上隆さんは毎年お正月にはリーウーファン先生の家を訪ねるらしく「村上なので一緒ですね」とのお話・・。また美術館のエントランスには川俣正さんの作品がぶちこまれていた。美術館は20年ほど前に建てられた、シルエットだけみると地図における工場を表す記号みたいな形をしていて、のっぺりとした大きな建物なので、そのエントランス部分につくられた、ひとつひとつは一人で持てるサイズの木材がたくさんビスでつなげて作られた川俣さんのゲートは、美術館の建物と対照的だった。川俣さんはスウェーデンで見たような広場などに独立してつくる作品よりもやっぱり建物に打ち込むようなスタイルの作品のほうがイカす。美術館には日本語が話せる学芸員が数名いて、そのうちのひとりパクさんという人がいてキムさんとも元同僚。パクさんは昔東村山に住んだことがあるらしく、武蔵野美術大学やその隣の朝鮮大学校のことも知っていた。夜はそのパクさんとキムさんと三人でサムギョプサル。
夜は湿度がそれほど高くなく、寝つきやすかった。また静かだった。この辺りはニュータウン。僕が家を置いて寝るには最高の環境だ。朝5時に爆音で音楽をかけながら集団でやってくるおばちゃんもいなかった。朝は起きてまずプギョンデ大学駅近くのコインランドリーに行って洗濯をし、(洗濯に行って帰ってきたら2時間半ほど経っていた)、リーウーファン先生の作品と美術館のなかの展示をさらっと見て、いま近くのA Twosome Placeというすこし高級な雰囲気を醸し出しているカフェにいる。かれこれ2時間はいる。お昼ご飯もここで長さ30cmくらいあるベーコンとバカみたいな量のスクランブルエッグにまみれたトーストのごはん(「カントリーブレックファスト」らしい)をたべた。アイスカフェラテと合わせて10000ウォン強。