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代官山蔦屋のスターバックスにいる。電源がついているカウンターテーブルに座っていて、左には手帳を机に出してなにやらずっとiPhoneをいじっている人、右には集中して誰かに手紙を書いている人。どちらも若い女性。正面にはパソコンを睨んで何かの作業をしている若い男性。他にもパソコンを開いている人が多い。なんというか、みんなスマートだ。荷物が少なくて、机の上にはリップクリームとパソコンだけ置いているような感じの人たち。そんななかでKARRIMOR製のでかいバックパックを机の下において、机の上にはGoPro2台と、GoProのマイクロSDカードをパソコンに読み込むためのコネクタと、iPhone用の携帯リチウムバッテリーと、GoProのバッテリー充電器と、このMacBookを全て電源につなげた状態でこれを書いている。電源がなければこんなところ使わないんだけど、取り急ぎ電源のあるカフェはここしか知らない。ここを利用するためには、スターバックスで何か飲み物を注文する必要があるので、一番小さいサイズのラテを頼んだのだけど、机の上に広げている荷物の体積に対して飲み物の大きさがあまりにも小さいので、なんだか申し訳ない。もう一つ大きなサイズを頼めばよかった。これを書いているうちに手紙を書いていた右の人が立ち去っていった。店内は混んでいるけど、満席というわけではない。
今日はおよそ一年ぶりに「移住を生活する」をスタートさせた。偶然にも今日は東日本大震災から10年目に入る3月11日。つつじヶ丘から駒沢公園(共同通信の記者の人が、撮影したいということで寄った)を経て、代官山まで15キロくらい。5時間くらいは歩いた。久々に家と一緒に歩いて、やっぱりこれは良いなと思った。毎年この時期に移住生活をやるのは良いかもしれない。定期的に、自分に突きつける必要がある。自分を通して、周りの人にも突きつける必要があるかもしれない。今日本は、というか世界中で新型コロナウイルスと名付けられた風邪(COVID-19というらしい)でパニックになっていて、ニュースばっか見てると世界にどんどん余裕がなくなってるように見えるけど、家を背負って歩いた感じはいつもと全然変わらなかった。街では人が歩いていて、iPhoneを見たり、買い物や、立ち話をしている。松陰神社前近くの鰻屋さんは満席だったし、いつも行列ができている店は、今日も行列ができていた。マスクをしている人の割合はすこし多いかもしれない。
駒沢公園ですこし休もうと家を地面に置いたら、ものの5分くらいで「巡回中」と書かれた自転車にのった公園管理のおじさんが通りかかり、「なにか言うだろうな」と思っていたら案の定「これはなんですか?」と言うので、「ちょっと撮影を」と答えたら(瞬間「しまった」と思った。「すぐどかしますんで」とだけ言えばよかったのだ。久々に家を動かしているのでナマっているのかも)、「撮影の許可を取ってますか?撮影には許可がいります」とたたみかけてきた。
それはまあどうにかごまかしたのだけど、おじさんはさらに家を指して「こういうものを設置するのは、ダメです」と言う。他にはどういうものがあるんだ?と思いつつも、「設置しているわけではないのですが」と言ったら、言い終わる前に「設置しているかどうかは、こちらが決めます。」という(いまこうしてパソコンで「設置」と書いてるけど、その時の僕は「接地」という感じを思い浮かべていた)。
「設置しているかどうかは、こちらが決めます」という言葉の強さにびっくりしてしまったけど、こういうときは引き下がったほうがいいので「とにかくすぐにどかしますんで」とだけ言った。そしたらおじさんは去っていった。結論として、駒沢公園はとても窮屈な公園だった。ツーリングやランニングのコースがあるので、そこはしょうがないのだけど、せっかく芝生の気持ち良さそうなところがあるのに、この様子だと家をおいて休憩なんかとてもできない。2度と行きたくない。この白い小さな家がどういうもので、なぜここに置いてあり、いつ移動させるのかを普通に聞いてから対応すればいいのに。なんのために「人間」が公園の管理人をやっているのか。とにかく、「こういう物」を設置するのはだめなので、すぐにどかしなさいと言われるので、休憩もできない。ロボットにやらせてるのと変わらない。あるいはあのおじさんはロボットだったのか?
ひさびさに家を動かしてやはり思い知った。この家は、背負って歩いている時はみんなけっこう「なにあれ〜」「歩く家だ〜」「面白いね〜」などとキャイキャイもりあがるが、地面に置かれたまさにその瞬間から、「不審なもの」になる。「え・・こんなのあったっけ・・」みたいな感じになる。反応が全て予想できる。こっちが思った通りのことを言う。「こういうものは設置できません」とか。相手に予想されていることを口にして、よく恥ずかしくないなと素直に思う。
駒沢公園を出て、代官山までに一回デニーズで休憩した。駐輪場に家を置いて、店に入り、席を案内してくれた店員さんに写真を見せながら「こういうものを下の駐輪場に置かせてもらってるんですが、ちょっと店にいるあいだだけ、置かせてもらっても大丈夫ですかね?1時間くらいで出るんで」みたいな説明をしたら「ペットか何かですか?」と言われた。ちょっと予想外だったので、「いや違います。ちょっと背負って動かしてて、発泡スチロールでできた家なんですけど・・」みたいなわけのわからんことを言ってしまった。そしたら「お持ち帰りになるのであれば大丈夫です」と言ってくれた。僕の家は「お持ち帰り」になるので大丈夫だった。
それから代官山ヒルサイドテラスのアートフロントギャラリーの前まで家を動かし、今夜の敷地はヒルサイドテラスになった。もともとは「奥能登国際芸術祭」の打ち合わせで来る予定だったのだけど、数日前に、ちょうど移住生活中なので打ち合わせついでに敷地を貸してくれませんかと相談したら良いですよ、ということに。オーナーの朝倉さんも了承してくれた。このあたりに住んでいるらしい。北川フラムさんは「やっぱりオーナーがその土地にいるから良いんですよ。自分の街だから良くしたいと思えるから。チェーン店で入ってくるばっかりだとダメになっちゃう」と言っていた。
今日の間取りとしては
寝室=ヒルサイドテラス
オフィス=代官山蔦屋
トイレ=ヒルサイドテラス
バスルーム=光明泉(アートフロントギャラリーの人が教えてくれた近くの銭湯。「かなり良いですよ」とのこと。サウナもあるとのこと。)
ダイニングルームは未定。これから探してご飯を食べて、風呂に入って寝るとする。ドローイングと間取り図は明日。20時07分。