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名付けることについて。名前をつけるという行為自体が好きではなくて、ほとんど悪の所業だと思っていた。音楽のジャンルにしても、作品タイトルにしても。名付けることは、名付けられる前のものとものの間の関係を断ち切ることであり、活きているものの動きを止めて殺すことだと。全て名前を捨ててカオスに向かうほうが面白いと思っていた。でもカオスを守るためにはむしろ逆に、名付けることが必要なのかも。
社会的な問題に起因する違和感やジェンダーに新たな名前を与えることの利点はわかりやすくて、その物事に指をさすことができるようになると、人と問題が共有できるようになるし、それまで名付けられていなかった、硬直して悪いものになってしまった習慣や権威にも同じように名前を与えることになり、それが攻撃になる。
でもそれ以上に面白いのは、名付けることで初めて、名付けないことが可能になること。ひとつに新たに名を与えたとき、同時に名前を与えられていない領域も生まれ、名付けられる前よりも、むしろカオスが広がる。
(小説は名付けと相性が良く、詩は破壊、シュルレアリスム、野生と相性がいい?)

Posted by satoshimurakami