7月23日

初めて読者会というものに行った。近所の「書原」にて、早稲田の現代文芸コースを出た書店員の方が始めた企画で、独立系書店とかではなく、街の本屋である「書原」が読書会、しかも小説の読書会をやるという看板を店頭で見つけた時、あつい!なんてあついイベントだ!と、すぐに申し込んだ。
読書会は、ファシリテーター役の書店員さんが醸し出す「かたさ」がたまらなかった。内臓がきもちよくかきまわされるようだった。
参加者は5人いたのだが、それぞれに重きを置いていることが全然違っておもしろかった。「わたしなんか歳いってるから、ここで書かれてる、こういう人いる〜とか、こういうことある〜っていう、あるあるが多くで共感しきりで、若い人に人気なのは、中身よりも、ルシアベルリンの生い立ちからなんじゃないか」とか。僕の場合は、こういう人ってたしかにいるけど、あるある〜みたいな軽い感想にはならないなあと思った。
小説の中に「みんなの輪に入れない自分」を描写してるところがあり、この人の作品は全般的に、群れからはぐれてしまう人の言葉として読める、とかも、くくりが大きいなあと思った。また参加してみたい。

●ルシアベルリン『掃除婦のための手引書』表題作についてメモ
・一語一文の情報量の多さが、読者をつっかえさせる。簡単に先へとは読ませない
・読者はいろいろな解釈をしようとするのだけど、深読みを拒絶するような雰囲気がある
・作品が自立していて、読者を突き放すようなところがありつつも、日々のささいな出来事や人々の会話にたいするこまかやかな眼差し、つまり「共感」が両立している不思議
・過去形ではなく現在形で書かれているところが、切迫感を演出している。絶望的な気持ちになったとき、身の回りのことを現在形で書きまくるという経験は、僕にもある

Posted by satoshimurakami