8月17日

オペラシティアートギャラリーでライアン・ガンダー展を観た。
制作意欲もりもりに沸くほど面白かった。ふふっと笑ってしまう軽やかさとイギリスのアーティストっぽいひょうひょうとした感じもありつつ、作品の中に意外なほど直球なエモいテキストがあり、ぐっときてしまった。
曰く「…そこで私はあなた方に別の乾杯を贈りたい。観客の皆さん、時間を惜しむことなく、知性に意欲的な観客の皆さんに。共犯関係になり、複雑でいてくれる鑑賞者の皆さん、5秒の情報や未成熟なもの、センセーションや表層的なものを求めるのではなく、もっとそれ以上の、なにか深みのあるもの。不可解でまだ知らないものを求める鑑賞者の皆さんに乾杯を。アーティストの仕事を信じ、それに時間を費やし、エネルギーと好奇心を注いでこの壮大な方程式を完成させてくれる鑑賞者の皆さんに…」

そのあと下のパブでギネスのハーフパイントをキメてから渋谷へ。Bunkamuraザ・ミュージアムの「かこさとし展」。「宇宙進化地球生命変遷放散総合図譜」が目当てだったのだけど、かこさとしの膨大な仕事量にまず圧倒される。好奇心と熱量。この宇宙、地球、命、社会、芸術もろもろ全ての世界をまるごと理屈で捉えて、絵本で紹介してやろうという熱量。気の遠くなる話だけど、やってのけている。
そして最後に「宇宙進化地球生命変遷放散総合図譜」を観た時は鳥肌が止まらず、目が潤んだ。スピノザの直観知や熊楠の曼荼羅のことを思った。ビッグバンから始まり、動物だけでなく植物までも網羅した進化の樹形図。その年表にはところどころに「太平洋戦争」や「明治維新」などの歴史上の出来事も書かれていて、しかしそれとは無関係に進化している膨大な数の生物のイラスト。人間という存在を惑星のスケールで描こうとしているよう。

Posted by satoshimurakami