12月28日

・薪を背負いながら本を読んでいるひとが小学校の校庭にいたような気がするのだけど、あれはいったい何者なのか。みんな「一生懸命勉強している人」ということまでは知ってると思うのだけど、それ以上のことを知っているひとはどれくらいいるのか。「勉強を頑張ってるひと」というだけでは、その人となりの説明にはなっていないような気がするのだけど、その説明だけで十分ではないかと、仮に誰かに詰め寄られたら、たしかに、と思えてしまう気もする。ふしぎだ。
あのような、「勤勉さ」だけが一人歩きしているような例は、ほかにあるのだろうか。ほかの国にも、にたようなひとがいるのだろうか。
いま《勉強すること》に関する小説を書いているので、すこし気になる。あの「勤勉さ」を称賛する風潮には、なにか危険なものが潜んでいるのではないか。

 

・郵便局。荷物の発送手続きをしていたら、隣の窓口におばさんが勢いよく飛びこんできて、「これ送るといくらですか?」と、職員に封筒を差しだした。職員は封筒を秤にのせ、「これは94グラムなので、100グラムまでなら140円になりますので」と答えた(正確にこう言ったわけではないが、こういったニュアンスだった)。するとおばさんは「どういう意味ですか?」と聞き返した。その声色はなぜか威嚇するような響きがあった。刃物みたいだった。その一言で、ぼくの対応をしてくれていた別の職員も含め、場の空気がぴりついた。聞き返された職員が「100グラムまでは140円なんです。切手は、どうしましょうか」と、言い切るまえにおばさんが「自分で貼ります」と遮った。それからおばさんは突然「その言い方、おかしくないですか!これがいくらかって聞いてんのに、100グラムまでは140円だとか!」と大声を出した。職員が「すいません、これは140円になります」と謝ると、おばさんは「はい」と吐き捨てて、ものすごいスピードで郵便局から出て行った。僕はよっぽど、「あなたは悪くないです」と声をかけようかと思ったのだけど、ためらってしまった。言えばよかった。それにしてもおばさん、大丈夫か。心配になる。家とか職場で理不尽な目にあった腹いせとか、そういうのでないといいのだけど。

Posted by satoshimurakami