07181948

例えば家父長制はクソだとか、ジェンダー平等を実現しなければいけないという言説はたしかに正しく、そのような社会を実現しなければいけないという点に関しては僕もまったく同意するのだけれど、しかしここ数年で急に盛り上がってきた運動であることも事実で、私たちはそれより何十年も前から生きている。人生をかけて、専業主婦として夫や子供を支えることに、あるいは優しい母親として生きることに徹して(あるいは「演じて」)、わたしは立派にやってきたと自負することに幸せを感じる人も、働いて家族を養うことだけを生きがいに頑張ってきた人もいる。その誠実な重さに対して、あなた(の演技)は間違っていた、と言う権利が誰かにあるのか。その糾弾は「あなたの幸せは間違っている」と言っているに等しい。それこそ全体主義的で、「多様な社会」からは程遠い考え方ではないか。宮本はそのような糾弾はしなかった。「魂すり減らして目指した物語はどこへ行った?」と寄り添い、歌ってくれた。そして寄り添ってもらったほうが、人は変われたりもする。難しい問題だが。

Posted by satoshimurakami