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テラダアートアワードの設営作業後、屋外の喫煙所で友人とタバコを吸っていたらすぐそこの歩道でおじさんが倒れた。すぐ立ち上がるかと思いきや、倒れたまま動かない。思わず駆け寄って大丈夫ですかと声をかけたら、酔っ払っているのか、非常にぎこちない挙動でなんとか起きあがろうともがきながら、大丈夫です、とおじさんは答えた。その場を通りすがった女性も、大丈夫ですかと声をかけていた。倒れたときに打ったのか、おじさんは鼻から血がでていて、ワイシャツの首元に赤い筋が伸びている。路上にも数滴の血痕。かなり酔っ払っているのか、あるいは脳梗塞の前兆じゃなければといいなと思ったけど、何度「大丈夫ですか」と声をかけてもおじさんは「大丈夫です」と答え続け、女性が「これよかったら」と差し出したティッシュも断った。最後にダメ押しの「大丈夫です」を、僕の目を見てはっきりと口にして、なぜかすこし微笑んだ。もしかしたら気がついてないのかと思い、「鼻血がでているので」と教えたら、おじさんは「ああ」とだけ言った。再びティッシュを差し出そうとする女性を、おじさんはふたたび手で制する。ふらふらと立ち去っていく後ろ姿を3人で見送り、途中で停めてあった自転車にぶつかって転んだところでまたかけより、でもすぐにおじさんは立ち上がってふらふらと歩いていった。酔っ払ってるんですか? と聞いたほうがよかったのか。もし酔っていないのならすぐに病院に行くなり救急車を呼ぶなりしたほうがいいのだろうけど、おじさんはたしかに「大丈夫です」と答えたので、こちらも酔っ払ってるんだろうとしか思わなかった(というよりもそう思いたかった)のだが、後ろ姿がずっとひっかかっている。作品設営の心配事あれこれが吹っ飛んでしまった。

Posted by satoshimurakami