03252516

10時に六本木ヒルズ森タワーLLフロアのスターバックス前に集合、という約束を守るために8時前に起きて、とりあえずなにかお腹に入れておこうと昨日のカレーを火にかけた。冷蔵してあったご飯をレンジで温め、器に盛るとき、全部食べ切ってしまいたい気持ちと、さすがにそれは多いのではないかという気持ちがせめぎ合った。しかし時間は差し迫っていた。しばらく考えて、結局すべて器に盛ることにした。そこにカレーをかけて、かきこむように食べて、いそいで洗い物をして車に乗った。途中の道路は混んでいた。この混雑はある程度予想していて、早めの8時35分くらいに出発したのだけど、だんだん不安になってきた。ラジオの収録なので遅れることはできない。
1時間以上休まずに車を走らせた。途中大きく道を間違えることもなく、六本木ヒルズの建物内に突入した時点で9時53分だった。指定されたP2駐車場に入り、地下2、3階は満車だったので、4階までおりていった。あいているスペースを見つけ、車を停めた時点で9時57分。車を降りて「北エレベーター」に向かい、乗り込んだ時点で9時59分。これはもしかして、もしかするのかと気持ちが昂った。そしてチーンと音がなり、LLフロアでエレベータの扉が開いたとき、10時ジャストだった。私は間に合った。それも時間ぴったりに。世界が私を祝福してくれているような気持ちになった。フロアにはたくさん人がいたけれど、主役は私だった。まったく初めて通る道を1時間以上走り、電車でしか行ったことのない森タワーの駐車場に車を停め、時間ぴったりにフロアに到着。こんな奇跡はめったに起こるものではない。仮に1分でも早く着いていたら「間に合った〜」と感じただろう。ところが時間ぴったりに到着すると、不思議なことに「間に合った」ではなく「祝福されている」と感じる。途中、信号に一度でも多く引っかかっていたら、こうはならなかった。地下2階の駐車場に停めていたら、こうはならなかった。
他の人間にとってはとるにたらない、なんでもない出来事。自分ひとりだけが、自分にとってのみ、よかったと思える出来事。それだけが、世界からの祝福となる。君が一人になったそのときだけ、現れる世界がある。他人からみたときに、どうでもいいことほど大切。それを祝福と呼ぶ。

Posted by satoshimurakami