1108
あいちの仕事のあと、韓国料理を食べながら黑田さんが教えてくれたー「移住を生活する」をやっていたとき、私は「弱者」だったのかもしれない。このプロジェクトの中で私は、誰かの土地に家を置かせてもらわないと安心して寝る場所もない状態で、敷地を貸してくれた人たちのコミュニティに入っていくことになる。とうぜん、あまり気乗りのしない空間に長時間いなくてはならなかったりもする。その経験がある種のタフネスを鍛えてくれたので感謝しているし、そもそもわけのわからない人間に寝る場所を提供してくれる奇特な人なのだから、こちらとしては失礼のないようにするべきだと思い、多少嫌な席でも飄々と過ごしていた。
黑田さんはこの状態のことを「睡眠を人質に取られていた」と表現した。この視点は考えたこともなかった。目の覚めたような気分だった。シングルマザーや、家庭内でさまざまな形の暴力を受けている人や、戦争のせいで故郷に住んでるだけで命の危険があるような人たちにも通じるような、弱者としての経験を積んできたのではないかと黑田さんは言ってくれた。