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オンライン会議、誰かが話している最中にカットインする気持ちで臨まないと、一度も発言できないまま終わる。気がつけば終わっている。他の参加者の発言に刺激されて、そのつどいろいろな考えが僕の脳内を駆けめぐり、「これは発言に足る内容だ」と思えるものもときどき頭をかすめるのだが、誰かが発言を終えるとすぐに(あるいは終わらないうちに)他の人が発言して会議はどんどん進んでいくので、「これはこの人の話が終わったら発言してみようかな」と思っていたトピックも、気がつくと過去のものになっており、僕自身も新たな話題に関する新たな発言にまた感化されて別のことを考え始めてしまい…という繰り返しがおこる。特に人数の多いミーティングでおこりやすい。まず人の息遣いや視線がわからないので発話のタイミングが掴みにくい。大縄跳びに飛び込む機会を伺っていたら他の人たちにあれよあれよと追い越されていき、気がつけば入れてないのは自分だけ、みたいな感じだ。こうなってしまう原因には、オンライン会議という場の性質のほかにもうひとつ考えられる。この2年間、ひとつの団体に属して、「半分組織人」のような形で長期間仕事をしてきたけど、自分は「他の人」や「組織」に対して、このイベントの進行はこうしたほうがよいとか、この文章はこういう方向性に修正したほうがよいとか、そういった意見を、つまり他の人間の行動や思考に影響を与える内容を、直接的に言葉にして出すことを極端にこわがっている。苦手だ。たぶん、すごく。僕が自分ひとりの責任で行なっていることを、他の人が見たり読んだりして影響を受けてくれるのはとても嬉しいし、自然に受け入れられるのだけど、「自分の実践」を経由せずに、他の人に対して言葉を使って直接意見を表明することにつよい抵抗感がある。小学校のときからそうだったかもしれない。一人でもくもくと工作をして、その出来栄えや作業の仕方を見せることを経由して、友人たちや先生に、自分が大事にしていることや思いを伝える、ということばかりやってきた。ようするに陰キャだったのである。人が作業しているところをみて、そのやり方が間違っているように感じられても、「こうしたほうがいい」と言うことはできなかった。この性癖は変えてみてもいいかもしれない。いわばこの「傾き」が私をここまで育ててくれたことは事実だし、よい面もあると思うけど、気がつけばもう37歳になっている今の僕には、果たすべき責任が、つまり多少他の人の言葉を遮ってでも、発言すべきことがあるのかもしれない。一にも二にも言葉によって他人に影響を与えることをこわがってしまうのは、その結果問題が起きたときの責任を回避したいという弱さもあるんだろう。よくないかも。このモヤモヤをずっと気にしているから、ここ数年のいちばんやりたいことが「フィクションを書くこと」になっているのかも。

Posted by satoshimurakami