03112201
あなたはキャベツを育てることはできない。種を植え、不要な芽を間引き、土が乾けば水をやり、日当たりに気を配る。キャベツはすこしずつ膨らみ、葉は重なり、やがてまるく閉じていく。そこへ一羽のモンシロチョウがやってきて、卵を産みつける。幼虫たちは一斉に孵化して、葉を食みはじめる。その緑をもくもくと体に取りこみ、小さな種のような糞をひり出しながら育っていく。あなたは自分が育てているものが、キャベツではないことに気がつく。なかば開き直るようにして、緑の細長い住人たちの巣立ちを見守ることにする。その数を数え、底に溜まった糞を取りのぞき、彼らが蛹になる日が楽しみだと思うようになる。だがある日突然、芋虫たちは消えてしまう。裏返した葉の隅々まで探しても、見当たらない。どこに行ってしまったのだろう。そのとき鳥の鳴き声がして、そこであなたは理解する。自分が本当は何を育てていたのかを。