12月15日からの不調の記録
15日の夜、喉に違和感を感じて、これはやばいやつだと直感した。ちょうど仕事がひとつ終わったところだったので、すぐに横になった。だが不調は止まらず翌日から倦怠感が全身にゆっくりと広がっていき、夜ついに発熱。熱自体は37.4度程度の微熱。とにかく全身がだるく、間接にも痛みに近い異物感がある。17日は水戸に出張の予定だったが私だけお休みにさせてもらい、ずっと寝てた。ごはんはすべて涼ちゃんが用意してくれた。涼ちゃんはバイトに出かけたり帰ってきたり、制作の締め切りに追われたり、抱えているデザインの仕事の提出に追われたりしながら、私のために滋養たっぷりで消化にやさしいご飯をたくさんつくって看病してくれ、洗濯などあらゆる家事をこなしてくれた。いま私が生きているのは彼女のおかげだ(涼ちゃんにはあとから「死神みたいだったね」と言われた)。18日も19日もずっと寝てた。寝ることしかできなかったし、じっさい最初はずっと眠かった。体のなかが大変な騒ぎになっていて、横になっているだけでもうぐったりと疲れてしまっていた。暗闇で横になって目を瞑っていると、頭のなかも騒がしくて、超人気レストランの厨房みたいにいろんな音が鳴っていてうるさかった。風邪で寝込む時間も割と楽しめるほうだと思っていたけど、今回ばかりは辛かった。横になりすぎて脇腹に蕁麻疹ができた。横になりすぎて体がこわばっていて、なにかを取ろうとしてベッド上で変な体勢をとってしまって左肩の後ろに「ピキ」と地獄のような痛みが走り、「うおおおおお」とひとり悶絶した。以降肩が、猛烈に寝違えてしまったときと同じように、腕や足や頭をちょっと動かしただけで左肩の後ろにまた「ピキ」と同じ痛みが走るようになってしまった。遠くの部位でも関係なく痛むので、私はベッドの上でほぼ身動きがとれなくなった。涼ちゃんはバイト中だった。日が落ちて部屋が何も見えないくらいに真っ暗になり、灯りをつけたくても、一人では体を起こすことすらままならない。手探りで掴んだたんすの取っ手を支えにして、とても奇妙な姿勢のまま、なんとか上半身を持ち上げようとした。「ううう・・うおおおおおお」とか「いて・・いてて・・・・じゃねえよお」とか「そうじゃねえだろうがああ」などといったせりふを、小学校の教室に自分がいたとしたらクラスの半分くらいは振り向く程度には大きな声量で発しながら、なんとか体を起こそうと試行錯誤を重ねたが、すべて失敗した。やがて私は「ベッドの上で体を起こそうとするからいけないのだ」ということに気がついた。「閃いた!」と思った。つまり、ベッドと床の高低差を利用して体を縦にすればいいのである。すぐに試した。そして何度かの挑戦の末、私はついに立ち上がった。嬉しかった。立ち上がれるだけでこんなに嬉しいのかと思った。このとき私は自分が風邪をひいているということを忘れていた。極端に関節がすくない人型ロボットのような動きの少なさで廊下を移動し、飲み物を補給したりトイレに行ったりして、ベッドに戻ってきた。「また横になるのか」と思った。あんなに苦労して縦になったのに。でも相変わらず全身はだるく、関節は痛い。肩と腰と背骨がきしんで、体中の筋肉と骨が横になることにうんざりしていて、一度寝たらまた起き上がるのに大変なエネルギーを使うことが分かりきっていても、それでも寝ることしかできない状態。「『1週間ずっと横にさせられ続ける』は拷問として成立するだろうな」と思った。熱は20日にようやく下がってくれて、私は横にならなくてもいい時間をついに手に入れた。そして21日から徐々に、すこしずつ生活を取り戻しつつある。