相変わらず寒いけど快晴。午前中は市内を散歩した。

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ミニチュアみたいな可愛い建物が並んでる通りがあったり、大きな木があったりした。奇麗な道路の上に新しい建物ばっかりが並んでるようなところにそれらが突然現れたのでびっくりした。こういうものがないと、その土地がながい歴史をちゃんと持ってるっていうことを忘れてしまう。奇麗な建物ばっかりならんでたら、その土地がつくられてまだ間もないかのような錯覚をしてしまうなあと思った。どんな土地にだって、ながい歴史があるのだ。

お昼はブリッジにずっといて、夕方から夜まではカモシカ書店にいた。夜に人と飲んだ。
自分の職場の中だけで日常が完結しているような人は、その職場の中で敵をつくってしまう。せまい世界の中で簡単にいがみあったりしちゃう。「インデペンデンスデイ」で、地球が宇宙人から攻め込まれた途端に、あらゆる国が争いをやめて団結し、宇宙人に立ち向かうのと同じ。
漫画家の水木しげるの事務所に客が来たとき、水木先生が「こちらのお方は?」とスタッフに聞いて、スタッフが「スキャンをお願いしてる製版会社の方で…」って必死に説明してたら
「いいんですよ。人間なら」
と言って笑顔で会釈したっていうエピソードがすごく好きで、夏に僕が自分の家で寝る時に、中に虫が入りまくってきて、「虫さん達のところにお邪魔します」っていう気持ちにならないと寝れたもんじゃなかった。このとき僕は出会う相手の事を「人か虫か」で区別しているような感じだった。だから水木先生の「人か妖怪か」みたいな感覚はすっごくわかる。

大分在住の珈琲娘のさくらに連れられて「カモシカ書店」に来た。

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古本と新書を置いてある本屋で喫茶スペースもある、めちゃ居心地の良い場所。オーナーが僕のことを知っていた。そこで手に取った荒川修作と藤井博巳の対談集「生命の建築」を読んだメモとして書いておく。

荒川は「空間」のことを「私たちの目の前や後ろにあり、上下左右がある"透明なフィールド"」「(壁や天井で囲まれていることによって)すでに与えられたもの」とは考えていない。それはいずれ自然科学が進めば、たまたま透明だっただけの、ただの物質に還元される。彼にとって空間とは、身体の行為によって生まれたり殺されたりするものらしい。
そして彼にとって身体とは「変える事ができるフレーム」らしい。
「ただし、これだけめちゃくちゃな状態になってしまっているこの世界では、身体のフレームを変えることはできないので、身体の使い方から変えていく。そしていずれ身体のフレームを変えていけばいい」
らしい。また日本人は古来から「おばけのようにうつろい住む」民族なので、暮らしは「仮のもの」であり住宅は「どっちみちすぐ消えていく、仮設のもの」であるとする思想が身に染み付いている。だから「建築する」ことや「住宅を構築する」ということが何故必要なのかわからないっていうのが多くの日本人の本音だと思う。うつろい住む民族なので、体系化された思想が育たない。むしろわざと育てさせないようにしている。なのでこれからは「住む」ということを徹底的に考え直さないといけない、と彼は考えている。
そして彼によれば、人類が誤解している最も大きなことは「時間と空間」らしい。空間はわかったけど、時間も同じように考えられるとしたら?時間も身体の行為によって「生まれたり殺されたりする」ものだとしたら?こんな面白いことない。僕自身がいま「過去も未来も、近いも遠いもない。全てが同じ箱の中にごちゃっと入れられている、なにがなんだかさっぱりわからない状態」になっているのは、全てここから説明がつくのでは。様々な情報がこのからだに記憶されているような感覚。"出来事"や"場"をからだの中に取り込んでいっているような感覚に説明がつくのでは。

街にはクリスマスソングが流れまくっていて、何がなんだかさっぱりだ。からだが年末モードに変わろうとしてるのに、クリスマスソングがながれてるんだから。ほんとうに何がなんだかさっぱりわからない。日々刺激がたくさんあって、人と出会い続けてると、時間の区別も場所の区別もなくなってきて、いま、この文章を書いてる事実しか残らない。1週間前の事も1ヶ月前の事も全て同じ。区別がつかない。過去のことは全て同じ箱の中に、最近の事も昔のことも全て同じようにごちゃっと入ってる。そのうち頭がどうかしてしまって、気が狂ってしまう。こうやって文章を書きながらも、書いた文章はどんどん過去の物になっていって、どんどんあの箱の中に取り込まれていく。そのうち文章を書く事もできなくなりそう。

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フェリー「さんふらわあ」

朝に大分に着いて、まず去年大分で展示した時にお世話になったカフェギャラリーの「the bridge」に行った。フンドーキンていう醤油メーカーの倉庫を改装しためちゃお洒落なお店で、いつも結構盛況。裏さんていう人がオーナーなんだけど、あんまりお店にいない。彼は大分でいろいろなイベントに関わりまくっている。彼が全部でいくつのプロジェクトに関わっているのか分からないし、いつも何をやっていてどこに住んでるのかもよく分からないし連絡もつきにくい。面白いことの実現のためのお金をどうやって集めるかをいつも考えて動き回ってるイメージ。その裏さんをアテにして来たんだけど、予想通り連絡がつかないので、家をお店の前に置いてふらふらと散歩した。
大分は雪が降っていて、神戸よりも寒いんじゃないかっていう感じだ。the bridgeがオープンした頃に店に戻って、本田さんていうスタッフと1年ぶりに再会した。本田さんも
「裏さんは今日店に来てなくて、全然分からないんだよね」
って言ってた。お店でコーヒーを頼んで絵を描いたりしてたら、本田さんがお昼ご飯を出してくれた。

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ブリッジのごはん。グラタンやハンバーグや漬物や味噌汁や卵焼きやハマチの刺身

ご飯食べてたら、フェイスブックで僕と繋がってる大分在住の池辺さんていう人が、森さんていう彫刻家の人と一緒に現れた。そこから成り行きで、池辺さんの車に乗って3人で大分をまわることになった。
それで児玉さんっていう80歳の画家の人の家に連れていってもらったんだけど、その児玉さんがかなりぶっ飛んでる人で、話を聞きながら脳みそが刺激されっぱなし。会ってすぐに
「連絡先を書いてくれ」
と言われたので、名前と電話番号を書いて
「住所がないので電話番号しか書けないんです」
って言ったら
「そうか。家はあちこちにあるからな。近くの倉庫もあいてるからな、そこ泊まっていいぞ」
という言葉が返ってきた。まだ何も説明してないのに。とにかく言葉が途切れない人で、手元にある紙に鉛筆で言葉や図や、なにか円みたいな絵を書きなぐりながら、ずーっと話しつづける。話が次から次へと飛躍するんだけど、その飛躍の仕方はでたらめじゃない。自分が発した言葉が、言葉遊びをするみたいに別の言葉につながって、そのまま別の話題に移る。
「生きるっていうことがアートやからな。修行せなあかん。修行ってのは、滝に打たれることだけじゃなくて、毎日生活するっていうことが修行や。働くことも修行やし、働かないで暮らすのも修行」
みたいなことを言ってた。隣には奥さんがいて、ほとんど動かずに静かに彼の話を聞いてる。「この奥さんもすごいな」と思った。

夜にthe bridgeに戻ってきて、ようやく裏さんと会えた。僕がやっていることの説明をして
「もう身体が年末モードになっていて、移動する気力が起きないので、年明けまでここに家を置かせてほしい」
っていう相談をしたら快諾してくれて、しかも
「ブリッジで皿洗いのバイトするか」
という提案をもらった。それも面白そうだと思ったので、年末実家に帰省するまで夜はブリッジで働くことになった。そのすぐ後から22時半くらいまで働いた。店内の整理をしたり掃除をしたり。

その仕事の後も1年ぶりに人と再会したりして、もう1日中ばたばたして、今朝大分に着いたとは思えない。

長い1日が終わって自分の家に戻ったら「頑張ってください。冷めてたらごめんなさい」っていう手紙と一緒に、すっかり冷たくなったココアが置いてあった。

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大分に着いたら雪がちらついてる。積もってはいないけど。そしてめちゃ寒い。2、3度しかないんじゃないか。もう9時なのに。

いまガストにいるんだけど、フェリーにながいことのって波に揺られてたので、たちあがるとふらふらする。地面が揺れてるように感じる。むしろフェリーに乗ってる時よりも強く感じる。今昼寝したら、波に揺れながらすっごく気持ちよく眠れそうな気がする。

朝起きたら雨が降ってた。寒い。寒いと何もしなくてもエネルギーを使うのですぐ眠くなるし、お腹もすきやすくなる。移動する気にもならない。やはり冬眠したい。1日中こたつに入って日本酒を飲 みながら何も考えずにゲームしたり映画見たりする形で冬眠したい。でもそうしたらそうしたで、2 日もしないうちに「なんかしなくちゃ」っていう気持ちになって体が自動的に動き出しちゃうのも知 っている。満足はいつも続かない。

天気予報によると、至上まれに見るレベルにまで発達した低気圧が北海道のあたりにいて、その影響 で全国的にめちゃ寒くなるらしい。今日の夕方から一気に冷え込みがきつくなって、風も吹き荒れる らしい。17時の予想風速が12メートルとかだった。

「いろは」に面白そうなお客さんが来て、店主のゆり姉さんと3人で話し込んだりして、もうちょっとのんびりしたかったけど、昼過ぎからみるみる風が強くなってきたので、動けなくなる前に出発す ることにした。雨はやんでくれた。
神戸で「いろは」を見つけられて本当によかった。ゆりさんは同志のような気がするのでまた会いに来たい。

六甲アイランドっていう、東京でいうお台場みたいなところに大分行きフェリー「さんふらわあ」の 発着場があって、途中で海を渡らなくちゃいけない。どんな強風が吹いてるかと思ったけど、海の方の風はたいした事なかった。

フェリーのりばに着いて、家を外に置いて受付に行って
「大きな荷物があるんですけど、料金てどうなりますか?」
って聞いてみた。
「ああー、今日はすいてるので、客室に持ち込んでもらって大丈夫だと思いますよ。キャリーケース とかですか?」
「いやあの、外に見えるアレなんですけど」
って言って窓の外の家を指差したら、受付の人が楽しそうに笑って
「うわーあの家ですか」
「はい。あの家なんですけど」
「ちょっと前例が…。ちょっと、ちょっとお待ちください」
って言って奥に引っ込んで、ちょっと立場が上っぽい人を連れてきた。その人も僕の家をみて
「え!わははは」
って感じになって、もう僕も受付の人も全員で笑った。
「これが何にあたるのか、自転車なのかバイクなのか車両なのかを、船の人とも相談しないといけな いんで、ちょっと待ってもらえますか?」
と言って奥に引っ込んでいった。しばらく経ってから
「今回は特別に、手荷物ってことで別料金は無しで載せます」
と言ってくれた。それだけじゃなくて、僕の家をよりスムーズに船内に誘導できるようにスタッフの人二人が手順をちゃんと考えてくれて
「他のお客様の乗船が終わってから、家を入れましょう。船内のどこに置くかは、中のスタッフが誘導します。」
と言ってくれた。大分に到着するのは明朝になるので、今日の敷地は船の中という事になる。

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「さんふらわあ」にはお風呂もレストランもゲームセンターもついてる。

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明石海峡大橋

晴れ。雲もある。神戸も高松も気温はあまり変わらない。朝6時15分発のフェリーで、高松から神戸に戻ってきた。

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ブルーシートで僕の家を縛ってくれてた。
須磨のお宅の人達と再会して、すぐお昼ご飯に招待してくれた。
「関西といえばお好み焼きとたこ焼きやからな」
と言って、お好み焼きを家で焼いてくれた。

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この家オリジナルのお好み焼き用鉄板があった。ガスコンロの上に鉄板を敷いてお好み焼きを焼いて、それを鉄板ごとテーブルの上に持ってきて食べられる。鉄板の下には木製 のフレームがあって、鉄板をテーブルから浮かしている。これはびっくりした。手作りらしい。

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他にオリジナル焼きそば用鉄板もあった。オリジナルの薫製機もこれからつくるらしい。お父さんが仕事のスキルを家庭でも発揮してこれらがつくられてる。

今日には大分行きのフェリーに家ごと乗る予定だったのだけど、調べてみたら大分行きのフェリー「さんふらわあ」は三宮ではなくて、六甲の方から出てることがわかった。 なので六甲のカフェ「いろは」のオーナーさんにもう一回連絡をとって、今日はそこで寝かせてもらうことにした。
須磨から六甲まで一気に歩いて戻った。ルミナリエが今日までだったから、それが始まる前に着かないと人混みでやばいんじゃないかっていうことに歩きながら気がついて、ノンストップで12キロ歩いた。そんでいろはについたら店主のゆりねーさんが、相変わらずほわっとした雰囲気で出迎えてくれて力が抜けた。

明日は大分に向けて家を移動させる。家をフェリーに乗せた事がないのでどういう料金をとられるのか全然わからない。バイクとかと同じ特殊手荷物になるのかな。たぶん交渉次第。

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20141212 高松も寒い。曇り。昼に一時的に雨がふった。夜は晴れて星が奇麗に見える。

20141214 晴れ時々曇り。かなり寒い。

時間には「今」しかないっていう考え方ができる。過去も未来もない。世界には今この瞬間しか存在しない。そういう考えのもとで生きている人たちがいる。愛おしい。同じ時代に生きていることが嬉しくなるような人たちがいる。守れない約束はしないし、いま目の前の現状を必死で生きることに精一杯な人たち。過去をノスタルジックにふり返ったり、未来を必要以上に憂いたりしない。過去や未来のために今を生きたりしない人たち。あらゆる人との出会いを肯定的に受け入れて、自分の人生に果敢に取り込んでいく。その結果自分の人生がどう変わっていったとしても、出会わなかったらよかったとか、そんなことは絶対に考えないで、ただその瞬間を一生懸命生きて「楽しいよ」って言える人たち。そういう人が同じ時代に生きているっていうことを思うだけで深い喜びがわいてくる。

高松の人たちと久しぶりに会った。彼らは、僕が移動生活を始める前に最後に会った時から今日まで続いている日々を、引き続き送っているだけだった。そりゃあ各々すこしずつ環境は変わっている。部屋の模様替えをしたり人付き合いが変わったりはしている。でもそこで流れている日々のリズムは、僕が高松をでていく前と変わっていない。安心した。僕はそこで、いち登場人物になれたことを誇りに思う。

朝から雨。昼前にはやんで晴れ間も見えてきた。気温は昨日とあまり変わらない。

今日から数日間、家を須磨で預かってもらって高松に行く。この移動生活を始める前に住んでいた家に残ってる荷物を回収し て、住民票も実家に戻す。過去を清算しにいくようだ。高松の家はもう僕が帰る場所じゃない。この8ヶ月で僕のまわりの環 境はすごく変わった。本当にいろいろあった。いちいち書かない。あと投票もする。

神戸から高松のフェリーは1日4本の便がでてる。夜のフェリーでいくのが良いと思ったので、その前に「いろは」の店主か ら教えてもらった「神戸ルミナリエ」に行ってみた。

「派手なイルミネーションが街をかざってる」ぐらいの認識でしかなかったけれど、行ってみたらかなり大規模なイベントになっていて、イルミネーションも予想以上に広範囲で驚いた。元町駅から三宮駅をつなぐ太い車道が歩行者天国になっていて、ルミナリエを見るためにはそこにつくられた仮設通路を15分くらい歩かないといけない。BGMがながれて たけど、それ以上に警備員や警察官の「立ち止まらないでください」っていうメガホンの声が気になってしまった。

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「写真に撮ると宇宙船が降りてきたみたいだなあ」と思ってたら、宇宙人みたいな奴がいる、というオチがついた。

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本郷新さんという彫刻家の「老人」ていう作品だった。
ルミナリエはもともと阪神淡路大震災の鎮魂のためにはじまったらしい。それなら1月にやればいいのにと思う。

ルミナリエみたあと、近くのサイゼリアに入った。いまそこでこの日記を書いてる。店内は混んでいて、まわりにはあっちむい てホイしてるカップルもいるし、すっごい近くで顔を触りながら見つめ合ってるカップルもいる。中学生くらいの5人の男女の グループもいる。店員さんもめちゃ忙しそうにしてる。

今日も朝から晴れてる。10時くらいまで寝てた。
「いろは」のオープン前の掃除とテーブルふきをちょっと手伝ったら、バイトしてた頃の感覚を思い出した。
「四角いテーブルは四角くふくんだよ」
って言われたことを思い出した。僕に四角いテーブルのふき方を教えてくれたその社員さんは、店のレジからお金を抜いたという疑いがかけられて会社を辞めていった。

「いろは」を13時頃に出発して須磨区の方面に向かう。「ほんわかテレビ」をみたっていう須磨在住の人が僕を招いてくれていて、今日そこにお邪魔する約束にな ってる。神戸はだいたいどこも歩道が広くて歩きやすい。住みやすそうな街だと思う。しかし途中で、小学生の下校集団に出くわして家をいじられた。集団の小学生 が本当に嫌いだ。かわいげがない。「さわるな」って言ったら余計さわってくるし、それで家が多少壊れても全然気にかけない。加減をしらないし、自分の物と人の 物の区別、壊していいものと壊しちゃいけないものの区別もつかない。なおせないくせに壊そうとしてくる。一人で挑む勇気は無いのに、集団になると調子に乗るの も嫌だ。警察を呼びたくなる。口で「壊れるから触るな」と言っても全然効き目がないので、頭を強めに叩くか、ランドセルの中身を引っ張りだして路上にぶちまけてやろうかと思ったけど、どんなヒステリックな親がいるかもわからないし、逆上されて家を壊されてもたまらんので、目の前のそいつらの顔をつかんで一人ずつ植 木の中に押し込む想像をしながら精神をおさえて振り切った。

須磨区の家についたのは5時前。4歳のかわいい女の子と10ヶ月の男の子がいる家。驚くべき事に10ヶ月のその子はもう歩行を覚えていた。ご飯をみんなで 一緒に食べたあと、お父さんとそのお義父さんと3人で近くの銭湯に行った。
銭湯に向かう車の中で僕が
「いま住民票は高松にあるので、神戸からフェリーで高松に行って投票してこようと思っている」
って話をしたらお義父さまが「ぜひうちが応援している党も考てほしい」という話をしてくれた。その話を聞きながら、なぜか懐かしい気持ちになった。僕が幼いこ ろ、選挙のときに家族同士がお互い誰に投票したかを話さないようにしていたのを思い出した。「選挙は普段の生活とは違う世界の話なので、普段生活を共にしてる 家族同士で話すようなことではない」みたいな空気。あの空気はどの家庭にもあるのかな。いつからあるんだろう。いま思えばあれは奇習だったと思う。そういえば 「友達と政治の話をするな」って誰かに言われた覚えもある。友人の音楽家が「原発反対のデモに参加してます」っていうツイートをしたら 「アーティストがそんなこと呟くな」
みたいなリプライを返されてるのも見たことある。この気持ち悪い空気はなんだ。

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夕方まではずっと天気よかったんだけど、だんだん雲がかかってきて、夜には雨が降り始めた。冷え込みはそれほど厳しくない。最近僕の家は雨漏りがひどいので、 ブルーシートを貸してもらって被せた。

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昨晩はあんまり寒くなかったのでちょっと油断して寝入ってしまったけど、明け方に寒さで目が覚め た。iPhoneを見たら体感気温1度と書いてあった。寒いなと思ったけど、1度でこんなもんかとも 思った。このくらいならもう少し防寒対策すれば乗り越えられそう。冬を越すってのは大変なこと だ。冬眠する動物がたくさんいるのもすっごくわかる。最近、体調のせいか季節のせいかわからない けれど「積極的に移動したい」っていう欲求がわかない。じっとしていたい。
アニメのムーミンの第一話は冬眠からさめるところから始まる。
「4ヶ月眠ってたら、みんな忘れちゃうんだな」
っていうセリフを、確かムーミンがリトルミイに向かって言う。それはすごく羨ましい。ヒトも4ヶ月くらい冬眠して、そのあいだは経済活動も政府も全部凍結して、春からまた再開っていう風にしたら良い感じになるんじゃないか。色々と嫌な事を忘れられるんじゃないか。争いも少なくなりそう。僕の住んでいるこの街はなんだかスピードが速すぎるので、冬を冬眠ですごすムーミン谷のゆったりとした感じが羨ましい。

今日も快晴。お寺を出発する前に、敷地を借りていたお寺の人が蜜柑と柿をそれぞれ12個ずつくらい渡してくれ たんだけど、そんなに持って歩けない。なので4個ずつに減らしてもらって出発した。蜜柑は最高の食べ物なので、もらった4個は出発して30分後には食べきっていた。蜜柑は美味しいし食べやすい。 数キロ歩くと神戸市に入る。このへんはだいたいどこを歩いても北側に山が見えて、反対側には海が ある。国道沿いをずっと歩いて、交差点で右を見るたびに山があるので東西南北がわかりやすい。 「海と山のあいだの少ない平地につくられた街の中を歩いてる感じ」がいつもある。歩いてたら知らないおばちゃんが
「がんばって」 っと言って僕に千円をくれた。この千円を何に使おうかと思ってツイッターを見ていたら、昨日の僕 の「敷地を探しています」っていうツイートをリツイートで拡散して協力してくれた「いろは」って いうカフェが六甲駅の近くにあることを発見して、通り道だったので行ってみることにした。

「いろは」は客席が8席の小さなカフェで、かわいい女の人が一人で経営してる。

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彼女は僕の日記を 6月くらいから読んでるらしく、何も説明せずとも事情を分かってくれていて、すぐ打ち解けた。
基本的にのんびりした印象だけど突然予想外のリアクションをしたりする。リズムがずらされる感じ。それが心地良かった。なんかのんびりした雰囲気を醸し出しつつ、カフェはしっかり経営させてる。すごい。創業3年目らしい。ここで敷地のアテを聞き出せればラッキーだなあとは思っていたんだけど、相談したらまさかの
「ここ使っていいですよ」
ていう返事がきた。

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いろはの前には気持ちの良い神社がある。倉庫がずらっと並んでる。

快晴。気温も昨日と同じくらい。お昼ごろに藤巻ビルを出発、神戸方面に向けて歩き始める。家ごと移動するのは久々なので荷物が重く感じる。

15キロくらい歩いて、16時ごろにはもう暗くなり始めてきたので西宮という駅付近で敷地を探し 始めたんだけど、全然見つからない。1軒目のお寺は留守で、2軒目の神社は「朝早く氏子さん達が くるからびっくりする」ので断られた。3軒目のお寺は「いま住職がいないので協力できない」と言 われて、4軒目のお寺は普通に「それは無理やわ」と言われた。ツイッターとフェイスブックでも呼 びかけてみたけどなかなか良い場所がみつからず、日はどんどん落ちてくる。5軒目に行ったお寺 が、お寺とは思えないような、普通の住宅っぽい家だったんだけどそこでようやくOKがもらえた。

久々の家の移動で敷地が見つからなくて焦ったけど、夜銭湯で湯船につかりながら今日のことをふり 返ってみて「やっぱりこれは楽しいのかもしれない」と思ったりした。ある一定の日数を超えて移動 しなに日が続くと、移動したくなくなってくる。そうすると何故か思考が暗黒面に陥りやすくなる。 絶望する暇を頭に与えないためにも移動は良い。

かなり良い気持ちで銭湯を出たけど、脱衣所のロッカーをあけようとしたら荷物が大きいせいで鍵があかなくなって、店の人を呼んだらロッカーを壊すことになり千円取られた。

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家の中から見た西宮の街

今日もほとんど雲のない快晴。気温は昨日より少し高い気がする。散歩すると気持ち良い。

だいぶ体調も回復してきたので、昼から「堀川団地」という建物の絵を描くために京都に行ってき た。
風邪をひいた事もあって8日間くらい滞在した藤巻ビルだけど、明日はここから神戸方面へ向けて家 を移動させる事にした。なので夜に藤巻さんが最後の晩餐で鍋をやってくれた。僕の髪が伸びてて、 切りたいと言うのでお願いしてみた。かなりうまく切ってくれた。 ながく居たところを出発するのはすこし寂しい。藤巻さんが昨日のたこ焼きパーティーのメンバーで ラインのグループをつくっていて僕も入ってるんだけど、そこではメンバーの恋愛に関する出来事の 実況とそれに対する励ましやアドバイスが流れてきて、僕も「ドンマイ!」とか言ったりする。藤巻 さんも僕が明日出発すること流したりして、「気をつけて~」っていうメッセージがきたりする。グループの関係性が面白くて笑っちゃう。

今日も晴れ。相変わらず寒い。

起きた直後から藤巻さん主催のたこ焼きパーティーの準備を手伝い始めた。何人か友達を呼んでやる らしい。藤巻さんのビルの2階はキッチンもテーブルも食器もあるけど普段はあまり使っていないら しく、そこに友達を呼んでパーティーとかできる。お昼には友達が4人くらい集まってきて、お酒も 飲みはじめてた。僕以外はみんな30代の女性で、妊婦さんもいるし東方神起(他にもいっぱいグル ープ名がでたけど全部忘れた)とかの超韓流アイドルファンの人もいるしなんか色々いて、初対面同 士のところもあるけどみんな関西人ってだけあって話がほとんど耐えない。僕はほとんどみんなの話 を聞いてるのみ。話題がどんどん変わりながらお酒がすすんでいく。女子会に混ぜてもらってる感じ。
東方神起ファンのナガイさんはユンホ(東方神起のメンバー)への貢ぎっぷりが凄まじくて、話 を聞きながら僕は新しい世界の住人を目の当たりにしていた。7口のファンクラブ会員権を所持してチケットをとって、日本でのコンサートよりも韓国のコンサートを聞きにいくのが好きらしい。ハングルで聞くのがいいらしい。
他の人も年上の人との恋愛関係の話とか、生まれて来る子供の名前の話とか、たこ焼き器でアヒージ ョができるんじゃないかっていう話とか、職場の20代の男子が全然使えない話とか色々出てくる出 てくるで、たこパは夜まで続いた。僕は途中から集中力が切れて眠くなって横になってた。

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