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朝、秋田温泉を出発。ここから26キロ南にある「道の駅岩城」にとりあえず向かう。温泉があるから。 今日も暑い日だ。風もない。汗がだらだら出てくる。何リットルも飲み物を飲みながら歩いた。海沿いの国道に出ると日陰もあまりなかった。でも僕の家の内部は、外よ りもずっと涼しい。日陰になるし風が抜けてくれる。この道、歩きの旅人は大変だろうな。Tシャツが汗でぐっしょりになって、高校の部活を思い出した。

夏祭りのシーズンで、歩いてる途中に子供がたくさん乗っている山車と出会ったりした。「すいませんすいません」って感じでさっさと通り過ぎる。あんまり神輿や山車のそばは通りた くない。水を差すような気がする。昨日の事も、水を差されたと感じた人がいたって事なんだろうな。

お昼頃、国道沿いにある個人商店の前に家を置いて休憩した。店に入ると、一番最初にサンダルが陳列された棚が目に付く。そのそばの棚にはパンが並べられている。 いい感じのおばちゃんが
「はいどうも」
って出てきた。僕はパンを眺めていた。そしたらおばちゃんが近づいてきて
「これはね、おいしいですよ。」
と説明をし始めた。
「ブルーベリーとかぼちゃとメロンがあります。あんぱんみたいに、クリームがひとつに固まってるんじゃなくて、パン全体に入ってるから食べやすいです。」
という。
僕は
「ああ、そうなんですか」
と答える。僕はもう笑顔がとまらなかった。自分で焼いたパンでもなんでもない、普通にスーパーとかでも流通している包装されたパンの解説を店のおばちゃんがしてく れているのだ。すっごく良い。
「じゃあブルーベリーとかぼちゃのパンをもらいます。あとこのジュースももらいます」
といってレジに持っていくと
「このカボチャパンの袋の写真がね、全然美味しそうじゃないでしょ〜」
と笑って言う。パッケージに写真が使われてるんだけど、それが黄色いカボチャの実の写真じゃなくて緑色のゴロっとしたカボチャそのものの写真だ。たしかに美味しく なさそうだ。
「でもパンはおいしいから大丈夫です。消費税はいらないから、370円です」
とおばちゃん。良いお店だったな。

道の駅に着いたのは5時頃。なんと、茨城から僕を訪ねて人が来てくれた。休みを利用して、青森で一泊してからここまで来たらしい。嬉しい。道の駅の休憩所で、今ま であった印象的なことやいま考えていることを話した。こういうこともあるんだな。水戸ナンバーの車はその人の他にはいなかった。
駅の事務所に行って敷地を交渉したら、オッケーしてくれた。
「ここは国の管轄だから基本的に自由に使えます。あんまり長期滞在じゃなければ大丈夫です」
とのこと。併設されている温泉がとっても良かった。日本海が一望できる。しかも日没の頃に入ったので、日が沈むのをみながら少ししょっぱい温泉につかった。
21時に突然町内放送があった。「ふるさと」が流れたあとで
「今日一日のお仕事おつかれさまでした。火の元、戸締まりにお気をつけておやすみください。」
って言ってた。
いま、海の近くのウッドデッキに置かれたイスに座って日記を書いている。蒸し暑い夜だ。風もない。道の駅のそばにある風車もまわっていない。寝苦しい夜になりそ う。海の上にちょうど半分の月が出ている。波打ち際のほうからは波の音と、時々人の笑い声が聞こえる。海のずっと遠くの方に漁火がいくつか見える。

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12時ごろ井川町を出発。ここにもまた来たい。
今日も暑い。路上で子供を二人連れたお父さんが話しかけてきた。彼は新聞を読んでいたらしく、ペットボトルの麦茶を差し入れてくれた。
「子供が、なんで家持って歩いてるのか聞きたがってるので、ちょっと教えてもらえませんか」
と言われた。返答に困ってしまった。
「普通に生活するのに飽きちゃって、もううんざりしちゃったんだよ」
とか言えばよかったのかな。それも理由の1つではある。そういえば水戸で出会った男の子が僕の家を見て
「僕ものりたい!」
って言ってた。「のりたい」って面白い言い方するなあ。移動するもの=乗り物っていう感じがするもんな。

歩いていると一歩踏み出す度に、両肩にリュックと家の重さがのしかかる。その重さは今の生活の全ての重さで、それを感じながら歩くということは、何か僕の存在を自分で肯定 しながら進んでいるような気がした。
歩いてたら、路上でキャップ帽を被った男の人から
「新聞みたよ。いま祭りやってんだ。寄ってけよ」
と話しかけられた。着いていくと小さな公園にいくつかの出店があって提灯が飾られている。町会単位でやるような小さなお祭り。今考えると、家を無神経に公園に入れたのがち ょっとまずかったのかもしれない。家を置いて、キャップ帽の人がおにぎりとフランクフルトを持ってきてくれるのを待っていたら
一人の男性が
「おたくはなんですか?」
と、強めな態度で聞いてきた。たぶん不審に見られている。僕も呼ばれてきた身なので、意表をつかれた。そうかこんなパターンもあるのか。
「あの人に呼ばれてきたんですよ」
って説明したら、彼はキャップ帽の人に
「お知り合いなんですか?」
と聞いた。キャップ帽の人は
「いや家担いで全国歩いてるって新聞に載ってたじゃないですか。~~」
と説明している。聞いた人は
「いや、外の人はいれないってルールがあるから、、」
というようなことを言っている。そういうルールがあるのか。これは招かれざる客ってやつだなあと思ってやりとりを見ていたら別のおばちゃんが会話に入ってきて
「いいじゃない、いいじゃない。来てくれたんだからそんなこと。いいのいいの」
と言っている。そのおばちゃんが場の空気を支配した。とりあえず僕は家から出て挨拶をしてまわった。 キャップ帽の人が町会長を連れてきて、僕のことを説明してくれた。町会長は丁寧に自己紹介をしてくれた。僕もお辞儀をして名乗った。町会長はテントに招待してくれて、パイ プイスをすすめてくれた。良い会長で良かったなと思って、僕はとにかく一生懸命自分の活動を説明した。町会長は「そうですか」と聞いてくれる。そしてババヘラアイスのこと を説明してくれたりする。
そしたら近くにいた女性が「ちょっとちょっと」って感じで寄ってきた。僕と会長が話し込んでいるのが気に入らないらしい。
「いま会議の時間でもないんですから、あんまりそうやってないで、こっちのことをやってもらわないと。時間もないんですから。(僕の家を指して)ああいうものをここにおく のだって、あっちゃいけない事なんですよ。やっぱり町にきたんだったら町のルールは守ってもらわないと。とにかくねえ」
という感じで、なんかしらないけどめっちゃピリピリしてる。僕も連れてこられた身なんだけどなあ。でもここはあんまり長居したらヤバそうな雰囲気だ。町会長さんは「うんうん」と女性の話を聞いて、すこし間をおいてから
「少し休んだら、出発していただけますか?」
と言った。僕はキャップ帽の人に
「あんまり長居するとまずそうですね」
と言って出て行く準備をする。彼は
「そうだな」
と答えた。彼もなんとなく不満そうな感じ。僕はすぐ出発した。怒りに近い感情は多少あったけど、なにより呆然としてしまった。誰かが「日本人は身内に対しては優しいけど外 からきた人間にはやたら厳しい」みたいなこと言ってたけど、その教科書的な出来事が目の前でおこった。こういう人って、本当にいるんだなあと。
なんでこういうことになるんだろうなあ。あの場には3種類の人がいた。僕を祭に受け入れようとする人と、少し離れて見ている人と、僕を祭からはじきだそうとする人。そんで 「受け入れる力」よりも「はじき出そうとする力」の方が強くはたらくように思う。今までもこういう扱いはあったし、もう落ち込んだりはしないけど、外から来た人に対してア タリが強いのはもう民族性なんだろうなと思ってしまう。そんなんで楽しいのかなー。ご苦労様ですって感じ。
そういえば昨日僕を泊めてくれた人も、隣の家の人から「なんなの、なんなの」って感じで説明を求められていた。一生懸命説明してくれたけど、そのあと 「あなたのことを『親戚です』って紹介した方がよかったのかな」
って言ってた。そうだな。たぶん親戚だって言われたらすぐに納得しただろうな。

7時ごろ「秋田温泉」という温泉郷に着く。「まずはお風呂に入りたい」その一心でここまできた。日帰りだけの入浴施設があれば一番良かったんだけど、なかったのでホテルで 敷地の交渉をしてみた。オーナーが不在だったけど、とっても丁寧に対応してくれて、電話で連絡を取ってくれた。 結果はだめだった。「セキュリティのこともありますし」
とのこと。まあ予想はしていた。そもそも宿泊施設だしな。 でも7時を過ぎていて外はもう暗くて、またイチから敷地探しをはじめる気力もないので、普通に部屋を借りて泊まろうと思って
「今日お部屋ってあいてますか?」
と聞いてみたら
「明日からお祭りがはじまるので、今日は全て埋まってしまっているんですよ。申し訳ございません」
と言われる。そうか、そうか。いよいよやばいかもな。お礼を言って出ていって、どうしようかうろうろ考える。「家だけ置いていけばいいんじゃね?」と思い、もう一回ホテル にいって聞いてみると
「何かあっても責任はとれませんが、それでもよろしければ」
とのこと。よかった。このとき、ふっと心の荷がおりたのを感じた。泊まるのはダメだけど、荷物として駐車場に置いて行くのはオッケーてパターンは初めてだ。でも、家さえ置 かせてもらえれば、体だけ寝る場所はなんとでもなる。今日はまあしょうがない。秋田駅まで行けば満喫とかあるだろう。 ただの荷物になり下がった僕の家は、駐車場に置かれてなんとなく寂しそうに見えた。
すまないなあ。

めっちゃ蒸し暑くて、雨が突然降ったりする日だった。あんまり急いでもしょうがないので、今日は 動かなかった。東京の夏に似た日だ。秋田もこんな蒸す日があるのか。
近くに彫刻がたくさんある公園があると聞いたので行ってみたけど、ちょっと歩いただけで汗がだら だら出てくるのであんまり長く見る気にもなれない。人物のブロンズ彫刻があって、その服の中でス ズメが巣をつくっている。めちゃ暑そう。
夜、また宴会に呼ばれる。昨日と別メンバー。新しい人が二人いて、とても良い感じに受け入れてく れた。以前も一人旅をしている女の子を同じ空き家に泊めたという話を聞く。若い女の子だったらし く、自己防衛のためにハンマーを持ち歩いていて、それが役にたったこともあるらしい。
僕を呼んでくれた人が
「そういう旅人をよく連れてくるんだよこの人は」
と言われている。その人は
「でも楽しいでしょ。自分では声かけないけど、私が声かけた人との宴会には来てるじゃない」
と返す。そういう役割がそれぞれあるんだろうな。受け入れる人と、それに乗っかる人と。

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秋田県には東京の蒸し暑さはない。日中日差しが強くて暑いことはあるけど、朝晩は冷え込むくらいになる。夏は北に来て正解だった。
お昼ごろに加藤さんの家を出て、今度は井川町というところにむかう。ここから20キロくらい南下
したところにある。数日前に知らない人から
「よかったら泊まっていっててください」
というメールが突然来た。僕のことを新聞で知ったらしい。そこに向かう。
夕方、ちりとりの角を使って家の前の道路にこびりついたゴミを掃除しているおじさんのそばを通り
過ぎたあたりから井川町に入った。「日本を、取り戻す」と書かれた自民党のポスターを見つけた。
メールをくれた人と合流して、一軒家に案内された。その人の姉夫婦が住んでいた家らしいけど、二 人とも亡くなってしまって今は空き家になっているらしい。
「ここ自由に使っていいよ」
と言われた。鍵も渡してくれた。こんな事初めて。話を聞いてみると、これまで旅人を何人か泊めた ことがあるらしい。勤め先が国道沿いなので、よく旅人が通りかかる。それに声をかけたりするとい う。で、その度に仲間を集めて宴会をするという。
僕も夜は宴会に呼んでもらった。6人くらいい る。奥さんの地元で暮らすために長崎から移住してきたという人がいて
「こっちの人の言葉、何言ってるかわかんねえべ」
と言ってた。その人と僕以外はみんな「こっちの人」だ。「何言ってるか、わかんねえよな~」って 笑っているとき、なんか泣きそうになる瞬間があった。こういう違いを笑い合えるのって素敵だな。

しかし昨日の加藤さんといい今日の人といい、本当に色んなひとがいるなと思う。もし僕が歩いてな ければ出会う事はなかった。最近つくづく思うけど、毎日発見がたくさんある。あぶないあぶない、 と思う。歩かないと気がつかないことは本当にたくさんある。この生活にこんな側面があったなんて 想像できなかった。この歩きをベースにした生活にこれだけ発見があるなんて。ほんとどうかして た。狂っていた。僕は「~から~まで」行くっていう脳みそになっちゃってい る。
彼女とデートするにしても、遊びに行くにしてもまず「どこにいくか」を考えてしまって、「そ こまで行く」ことが大事だと無自覚に思っていた。その道の途中にこそ、それまで知らなかった事、 面白い事があることを考えもしなかった。 もっと言うと、そうやって行った先で「写真を撮る」ことが大事だと思い込んでいる。素早く目的地 までたどり着くために飛ばした時間と空間の中にもたくさんのまちや人がいることを考えもしない。
バイパスをたくさん歩いてきた。バイパスでは車がたくさん通り過ぎて行った。その名の通り 「パス」していった。僕はそのバイパスの路上にコスモスが生えている事を知っている。アリの巣が ある事を知っているし、人知れず車に轢かれた蛇の死体があることを知っている。車が時速70キロ で通り過ぎて行った土地を、僕は時速4キロで歩いていったから、それらを知っている。1日何千台 もの車に抜かされるけど、そのたびに思う「僕の方がずっと遠くに行ける」って。

歩かないと気がつかないまちがある。知らないまま通り過ぎる無数のま ちがある。あたりまえだけど、知らなかった。僕はいま井川町というところにある空き家にとめさせ てもらっている。持ち主が亡くなった空き家。ここにも物語があった。昨日までそんな名前の町があ ることすら知らなかった。それがいまはどうだ。壁と天井を持った大きな空間が目の前にある。現実 に目の前にある。これがどれだけ大発見かは体験してみないと絶対にわからない。

これまでいくつか「観光地」をみてきた。ほとんどは、空き家とつぶれたホテルとシャッターのしま った商店でできていた。かなしい景色だった。大きな灰色の悲しみがまちの上に浮かんでる気がし た。「昔は賑わったんだよ」って話をきくと泣きそうになった。もう見たくない。通り過ぎた土地にもたくさん町があることに想像を働かせないで目的地まで行ってしまうことは、ひとつの暴力だと思った。僕はこれまで無自覚にそういう暴力を働いていた。あぶないあぶない。

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海水浴場で大きな砂像を作って展示する「サンドクラフト」というイベントがあるらしい。朝、ここの職員さんが連れて行ってくれた。トマトを6個くれた人。 海についたらまずでかい風車が目についた。小学校の工作で作るようなモノをそのまま大きくしたかたち。大きなハネがゆっくりまわってる。かっこいい。 サンドクラフトは、ふなっしーとかドラえもんとか風の神様とかそういうモチーフが多いなか、地元の建設組合が「建設機械」というタイトルでブルドーザーを作ってたのが 良かった。ちゃんとKOMATSUというロゴも入ってる。ぐっときた。
お昼頃「ゆうぱる」を出て、加藤さんという人の家に向かう。昨日の夜ここのオーナーさんが
「この近くにも芸術家がいる。明日はそこに行ってみるといいですよ」
といって、僕のことをその人に紹介してくれている。ここから2キロくらい離れたところに住んでいるらしい。
遊園地みたいな家だった。敷地の中に家と、あずま屋が1つと、犬小屋が1つと、小屋が二つ建ってる。 二つの小屋はそれぞれステンドグラス工房と、そば打ち工房になってる。 またこのあたりは温泉が通っていて、月5000円で使い放題らしい。プライベートの露天風呂があった。 加藤さん本人もすごい人。
「退職後に遊びではじめたんだ」
って言ってるけど、つくるものの完成度がとっても高い。ステンドグラスとそば打ちと木彫とハンコと俳句と果実酒(61種類もある)作りと書をやってる。昔盆栽もやって たらしい。
集中力は何時間も続くわけじゃないから、例えばステンドグラスに飽きたら木彫をやるっていうふうに一日を過ごしているらしい。
「退屈することがねえ」
って言ってた。これも生きる力だ。
毎週新聞に投稿する俳句が選ばれてるか見るのを楽しみにしていて
「明日の新聞にも俳句載ってたらいいなあ」
と言ってた。
「そんな何回ものるわけないの。ねえ?」
と奥さん。良いな。

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今まで大体15社くらいの新聞社からの取材をうけたけれど、僕は言う内容はほとんど変えていないのに書かれる記事の内容が微妙に違っている。新聞の記者って、取材した内容を速攻で記事にしないといけないから、それぞれの記者は「記事にする方法論」みたいな装置が頭の中にあって、取材したことをどんどんそれにかけて記事にしていくんだろうな。その装置が人によって違うんだろう。記事を本人に確認してから載せる、ということはしない。そんな暇はないんだろうな。新聞は毎日新しいものが発行されて、ニュースはどんどん更新されていく。記事の厳密な正確さとかを求めるよりもとにかく素早く紙面にしていく。ってのが新聞の役割なんだろうな。そして読む人も、例えば小説を読むように記事を読み込むということはあまりしない。そういえば新聞を「みる」とはいうけど「読む」とはあまり言わないな。そうやって書かれた微妙に違う内容の記事を見るのは面白い。

 

ハイロウズでマーシーが「誰かが予言してるほど良くも悪くもないのだ」って歌ってる。地球上の全員が完全に狂っている、思考回路がストンと落ちてしまっている可能性をいつも考えないといけない。

秋田県能代市の、とある家のベランダに洗濯物が干してある。たしか東京都杉並区の家のベランダにも洗濯物が干してあった。岩手県大船渡市の仮設住宅の窓にも洗濯物が干してあった。どこにいってもある。ほんとどこにでもあるから笑っちゃう。どこの家にも洗濯物は干してあるし、どこの家でも換気のためにあけた窓でカーテンが揺れてる。どんな山奥の家でも海沿いの家でも何十坪もある大きな家もワンルームの小さなアパートもおなじ。ぜーんぶ同じ。「生活」ってのは全てのものごとの下にまわりこむ。どこのお墓にも花は生けてあるし、草刈りをやってるし、飲み物を自動販売機で買う。どの街にも犬の散歩してる人はいるし、街角では挨拶が交わされている。そしてどこの道端にもクローバーやら黄色と白の小さな花やらが咲いていて、アリは行列をつくっている。このへんのアリはやたらデカイけど。洗濯するといえば洗濯機だし、移動といえば車、都会では電車とかバスとか。そんな土台の上で、みんな一生懸命仕事をしたり、一生懸命仕事をしなかったりしている。好きなことで忙しい人もいれば、そういう人に乗っかるのが好きな人もいる。特に好きじゃないことで忙しい人もいるだろう。実家のガソリンスタンドを継いで一生を終える覚悟を決めた人もいる。路上では雑草が勢力争いをしている。背の高いやつとか葉の大きなやつとか、それぞれ生き残るためにいろいろな戦略をとっている。眺めていたら風が吹いた。そのとき全ての草が、全体として揺れた。突然原っぱとしての、雑草としての「全体」があらわれた。いろんな形の葉をもった雑草が、同じように風に揺れているのを見て思った。俺は希望がつくりたいんだ。そういうことはいままで考えた事がなかった。でも「希望がつくりたい。そこまでは言える」と思った。世の中を明るくとか、希望とか夢とかそういう言葉はあんまり好きじゃない。友川カズキだって言ってる「言葉に意味はなくひとつの輪郭にすぎない。絆っていう字書かないと、そういう絆っていう感覚持てないの?」って。世のため人のためとかではなく、自分に向けて希望がつくりたい。そこまでは言っても大丈夫だ。たぶん。そしてそうやって歩いてると、考えたことがどんどん後ろに流れていく。一瞬一瞬がどんどん過ぎていく。前向きにならざるを得ない。音楽を聴きながら歩いていると、前向きにならざるを得ない。

 

今日は能代市を出て森岳温泉郷というところに行った。18キロくらい。能代市でもたくさんの人と出会った。ここもまた来たいな。平山さんの同級生の紹介で、森岳温泉の「ゆうぱる」っていう浴場の敷地に寝かせてもらえることになった。夕方に着いて温泉にいれてもらえた。とってもいい感じのお店。ここの温泉はすっごく透明でしょっぱい。この森岳温泉郷も、けっこうさびれてしまってる。かつて10軒以上あった旅館も今は2軒しかないらしい。ストリップ劇場もあったという。大きなホテルがつぶれてそのままになってる。旅館の跡地は老人ホームになってる。大湯温泉でも同じ事が起きてた。大湯温泉なんか、主要産業は老人ホームって言ってる人もいた。わかりやすいなあ。

「交通手段が発達すると、昔のようにどこかに寄って行こうという客がいなくなった」

って話を聞いた。そう目的地までいっぺんに行こうという意識になっちゃうんだ。目的地とか目的とか、つまんない言葉。

 

今夜はゆうぱるのオーナーの気遣いで、大広間みたいなところに寝かせてもらえることになった。ありがたい。

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今日も動かない。ずっと絵を描いていた。近くのイオンにボールペンを買いにいったりした。イオン はどこにでもあるな。夢工房咲く咲くの能登さんは本当に朝から晩まで動き回っているような人で、 よく手がまわるなあとおもう。いま日記を書いている工房でも、毎日のように何らかの先生を呼んで 何らかの講座が開かれてる。自分で始めたことで忙しくしているのはとてもいいな。
夜、平山さん夫妻に近所の「ひさや大食堂」という中華料理屋に連れていってもらった(平山さんは 一昨年新潟で知り合った羽鳥さんに似ているし、近いオーラを感じる)。「超美味しいから」と言わ れてから行ったけど、本当に美味しかった。シュウマイと酢豚が最高。しかも、そこの店長はむかし 武蔵美の近くにある居酒屋「風神亭」の店長をやってたらしい。学生時代よく行ってた店だ。こんな とこでそんな人と会えるなんて。何があるかわからん。
平山さんが、冬の能代の話をしてくれた。ここらは雪は降るけど風が強いのでそんなに積もらない。 だから空は晴れていて風が強いとき、地吹雪という状態になる。地面にすこし積もった雪が、風で舞 い上がるらしい。風速20メートルなんてよくある話だという。だから昼でも車のライトはつける し、つけていても対向車がよく見えない。毎年冬は戦のような気持ちで日々を過ごすらしい。厳しい 冬の話をしているけど、平山さん達の表情はとっても生き生きしている。
「冬はすげえんだぞ。地吹雪体験してみな~。でも夏の暑さは、これ以上の暑さを知らねえから。暑 いのは駄目だ」
と話してた。「冬の厳しさなら負けねえぞ」って感じだ。
「でも北海道には負けるけどな。あすこは死人が出るからな」
とも言ってた。

まちを歩いてる時に見つけたかっこいい壁画

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毎週日曜日は朝市の日らしい。9時頃から「夢工房」の駐車場に人が集まってきて野菜などを売る準備をしている。僕はそのそばで 日記を書いている。
だいぶ腰の曲がったおばあちゃんが
「おら、一月にひ孫が生まれんだ。彼女柔和な人だ。よかった」
と話しかけてきた。彼女はいま87歳で、1月にひ孫がうまれるらしい。僕のおじいちゃんと同世代。
「やっぱ彼女つくんねとだめだ。子供生まれねんだもん」
訛がつよい。上の台詞までは聞き取れたけどそのあと
「とうちゃんがな、けいさのっであぐなのっであぐなってな。でもやまのはたけのほさはのっでな」
という感じで話されて、全然意味がわからない。なんとか意味を汲み取ろうとして聞き返していくと
「旦那が(もう年だから)、軽(自動車)に乗るな乗るなってな。でも山の畑へは乗っていくけどな」
っと言ったみたい。これも定かではないけど。
他に男の人に「旅のお方、食べてくれ」ってトマトもらったりした。「旅のお方」なんて台詞はドラクエでしか聞いたことない。外 からお祭りの山車が通りすぎる音が聞こえる。

今日はコインランドリーに行ったあと、ずっと絵を描いていた。昨日の疲れが足に残っている。風がとっても強くて、晴れたかと思 えば突然強い雨が降ったりする。夜は、はかり店の平山さんが家に呼んでくれた。彼女は地域の養護学校の生徒たちがつくった絵な どを町のあちこちで展示する「まちなか展覧会」なども企画しているらしい。今年で6回目になるという。「はかり店」でやる企画 として何か面白いアイデアがないかと一緒に考えたりした。
オキライの潮目の話をした。
「こっちも震災の影響で、スーパーから商品が無くなったりして大変ーって思ってたけど、そういうのが恥ずかしくなるね」
と言ってた。

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夜寝るとき、自分の家の天井を見上げると「これは自分がつくった空間だ」っていう実感がこみ上げてきて嬉しくなる。それ は、例えば僕が土地と家を買っても感じることはできない実感だと思う。お金を払えば土地が手に入るというのは思い込みだ とわかっているから。「手に入れる」よりも「借りる」の方が嘘がない。 「震災がきっかけで、村上くんは自分が家になって移動している」という見方をしている人がいることを知った。家になる。 魅力的な言葉。たぶん引っ越しのとき、家になってしまう方が自然な在り方なのだ。移動先で誰かが作った箱の中に住むより も。いやそれは分業をすすめるためにはマストだったんだろうけれど、あまりにそれが一般化されて制度になってしまったの でそれが自然なことだと錯覚してしまった。自分で作った家に住み、引っ越す時はその家を移動させるってのは普通にありそ うな話だ。たまたま今はそれが特別視される世界になっているだけで。

今日は朝8時半ごろ道の駅を出発して、能代まで歩いた。最短距離で37キロだったんだけど、結局述べ40キロくらい歩い たと思う。途中で電車に乗ろうと試みたりしたせいで余計な距離を歩いてしまった。結局電車には「ちょっと大きすぎますね え」と言われて乗れなかった。
着いた頃には、足が自分のものじゃないみたいだった。 歩いている最中、旅人に二人出会った。一人目は埼玉から出発して車で日本一周しているおじちゃん。
「旅が好きなんですか?」
ってら聞いたら
「まあ旅好きというより、定年退職して何かやることねえかなって思ってやったのがこれかな」
と言ってた。一日千アクセスくらいあるブログをやってるらしい。去り際に
「明日ブログ見てねー」って言ってた。
二人目はモンスターハンター10周年 を記念してモンハンのコスプレを施した自転車で日本一周をするというよくわからない(自分でそう言ってた)旅をしている 青年と。青年は去年の10月に新潟を出発して、もうすぐゴールらしい。

能代に着いたのは21時過ぎごろ。もうふらふらしながら到着して、待ってくれていた人と合流した。埼玉の田谷さんが紹介 してくれた「平山はかり店」の平山さんと、「夢工房 咲く•咲く」の能登さん。はかり屋っていう業種があることを初めて知 った。店の中をみたら本当にいろんな秤が置いてあった。このあたりは米の産地なので、昔は出荷するお米の秤を主に売って いたらしいけど、いまは需要がないのでいろいろな「はかるもの」を取り扱おうと試している。夢工房の方は、アグレッシブ なキャラの奥さんがやっているカフェ兼工房で、野菜なんかを直売する朝市をやってたり、先生を呼んで粘土教室をやってた り、いろいろやってる人。本人も「いろいろやりすぎでしょ~」って言ってた。

今日能代はお祭りで、山車なんかが出て盛り上がっていたけど僕は疲れで倒れそうになってた。ので早く寝た。

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11時頃お寺を出発しようと挨拶したら奥さんに 「夕ご飯よかったらご一緒にって思ったんですが、どこに家を置いたのか見つからなくて・・」
と言われた。
出発して早々、自転車にのったおばちゃんから突然千円もらった。そういえば昨日出会った特徴的なおじちゃんから も「チップだ」といって千円もらった。僕はそのお金で納豆定職を食べたのだった。とても良い感じのおばちゃんだ った。そういえば、秋田出身の大学の後輩からツイッターで「秋田はババヘラアイスがおすすめです」という連絡が きた。調べてみたら、おばあちゃんがヘラで盛ってくれるからババヘラアイスというらしい。素晴らしい名前だ。国 道沿いにパラソルをさして売ってるらしい。遭遇できるか。路上販売のわくわく感は良いな。
とりあえず北秋田市の「道の駅たかのす」を目標にして歩いていた。15キロくらい。山道だった。クマが今にも道 路脇から出てきそう。昨日、こういう山道でクマに遭遇する夢をみた。奴は遠くにいて、こちらに気がつくと怖がっ て逃げていった。遭遇したくないな。ババヘラが先かクマが先か。

お昼過ぎに道の駅たかのすに到着した。連日歩いていて結構疲れているのがわかる。今日はここを敷地にしようかな と思っていたら、男性が「ご苦労様です」って話しかけてきた。
「まあ、冷たいものでも食べて休んでください」
と言ってくれた。ここの社長さんらしい。新聞で僕のことを知っていたみたい。敷地のことを聞いたら快諾してくれ た。
「ここは大太鼓で有名なんですよ。ちょっと見ていきませんか」 と言って、そばにある大太鼓の資料館に案内された。「へえー大太鼓ねえ。大きな太鼓なんだろうなあ」くらい に思って入ると、もう予想を遥かに超える大きさの太鼓が4つ並んでいてひっくり返りそうになった。こんなの見たことない。1個つくるのに2千万円くらいかかるそうだ。その音は1里先まで届いたって言い伝えが残っているら しい。
「太鼓を張り替えるのに大きな牛の革が必要なんだけど、今は大きな牛を育てることがないからね。」
と言ってた。この部屋も太鼓のために加湿しているらしい。維持するのがめちゃめちゃ大変じゃないか。大丈夫なのか。

夜10時頃には横になった。明日は人と待ち合わせをしているので能代市まで行かなくちゃいけない。調べたらここ
から37キロあった。大丈夫かな。

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「あなたのアイデンティティは何?」という質問を自分にしてみた。何かつくったり考えたりしている間だけ自分が 存在しているとしか思えない。だからフリーターをやってた1年間僕は存在していなかった。まる1年も、時間が奪 われてしまってた。だらだらしたいとか1年中寝ていたいとか毎日毎日思うけど、実際試しにごろごろしはじめる と、1日もじっとしてられないことはもうわかっている。「今日は1日何もしないでいよう」って今まで何回も自分 に課してみた。うまくいったことがない。だいたい疲れてイライラしはじめる。半ば腰を落ち着けるつもりで、去年 彼女と一緒に香川県に引っ越したけど、2ヶ月もしないうちに今の「移住を生活する」のプランを練りはじめてい た。残念だ。もうそういうものだと思って諦めるしかない。

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朝ご飯をコンビニの駐車場で食べながら、前の道路を眺めてた。歩行者が一人も通らない。車は何十台も通る。ほんとみんなすぐに車に乗る なあ。そういえば高松でバイトしてた頃も2キロ離れた職場まで歩いて通ってたけど、みんなにびっくりされて最初信じてもらえなかったく らいだった。「すぐそこなのに」っていうところでもすぐ車にのる。からだとか大丈夫なのかな。「歩く」ってのはもはや基本の移動手段じ ゃないんだろうな。ちょっとの距離でも車にのりたがるってのは、そっちの方がもう身体に馴染んでしまってるってことだ。徒歩よりも車の 方が身体に馴染んでる。歩くことはもはや「ウォーキング」という特殊なジャンルになりつつあるんだろう。それで大丈夫なのか。

いつのまにか秋田県に入ってたけど、なにか景色ががらっと変わったわけでもない。住所って考えれば考えるほど不思議だ。土地に線は引か れてない。でも歩いていると住所はどんどん変わる。いま自分の住民票は香川県高松市松福町となっているけど、その言葉の並びが指すもの はなんだろう。それは土地から沸き上がるようにして生まれたものじゃなくて、この社会の装置をまわすために便宜的に割り当てられただけ なので例えば「六本木」とか「銀座」っていう言葉が指すものはその土地そのものじゃないんだろう。うまく書けないけど、この生活をして ると住所って呼ばれるものが宙に浮いた頼りないものに見えてくる。それは歌でいうタイトルみたいなもんだ。他と区別するためにつけられ る。土地の持つ歌は、タイトルとは別のところにある。

8時半ごろ七滝温泉を出る。大館まで向かう。25キロくらい。アスファルトの上で干涸びて錆びた針金みたいになったミミズの死体をたく さんみた。やるせない気持ちになる。今日は路上で色んな人に出会った。まず看板屋さんの前を通った時に声をかけられて、コーヒーをごち そうしてもらった。スタッフが3人いて社長はギターで弾き語りをする人らしく、そのライブのポスターが事務所内に何枚も貼られている。 いい感じの看板屋さん。
あと
「えーっええーっ。考えられねえ。考えられねえ。」
って何度も驚く特徴的なおじさんに会った。「もうすぐここらはお祭りの季節になる」って話を聞かせてもらう。でっかいねぶたが出る祭が 能代であるらしい。
それとママチャリで埼玉県八潮市から北海道まで漕いでる「しゅうちゃん」っていうおじちゃんにも会った。この人はや ばい。下駄を履いて、錆び付いたママチャリに乗ってた。荷物も多くなくて、ちょっと近所のコンビニまでって感じのノリでバイパスを走っ てた。出発して2週間くらい経ってるらしい。いろんな人がいるなあ。

大館に着いたら新聞記者さんが話しかけてきた。もう5時半を過ぎていたので、僕はけっこう焦っていて 「いま敷地を探してるんです!」 って感じで相談にのってもらった。ゼロダテというアートセンターがあることを知っていたのでそこにも行ってみた
「あのちょっと相談があるんですが、僕は、、」
と言ったところで
「あ、家を担いでる人ですよね」
と返ってきた。その言い方は「家を担いで生きる」というライフスタイルが普通であるかのようだった。こっちが動揺してしまった。すご い。さすがアートセンターは一般化が早いな。
記者さんとも一緒に考えて、近くにあるお寺がいいだろうとのことなのでそこに行って交渉してみたら、快諾してくれた。よかったよかっ た。で、晩ご飯をゼロダテで教えてもらった「米田食堂」というところで食べたんだけど、ここがすっごくいい感じ。かっぽうぎ姿のおばち ゃんが一人でやってる(たぶん米田さんっていうんだろうな)ちいさな食堂。400円の「納豆定職」を頼んだら、ご飯と納豆とみそ汁の他 に6種類のおかずがついてきた。「たくさんおかずがあるなあ」って思ってたらおばちゃんは微笑みながら
「食べなさい」
って言った。いいなあ。このおばちゃんの家がそのまま自然に店になったような感じだ。
客は僕の他に2人おじちゃんがいて、彼らは集団的 自衛権の問題について言い合っていた。それがエスカレートしてきて話す声が大きくなってくると、調理場にいるおばちゃんが「まあまあ」 って感じでなだめている。おじちゃんたちはおばちゃんのことを「おかあさん」と呼んでいる。ほんといい場所だな。

夜、お墓のそばで寝るのはちょっと怖いなあと思いつつ横になる。いつもはこんなこと思わないのにな。でも横になって天井を見上げたら「ここは自分で作った空間だ」という気持ちになってわくわくする。それで怖さが飛ぶ。

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朝というか昨晩からずーっとじめじめしていて、いまにも雨が降りそう。東京は昨日梅雨が明けたらしいけれどこっちはまだぐずぐずしている。
朝、家の中でごろごろしていたら人が近づいてくる音がしてうちの窓を開けようとするので(というか鍵がしまってるのに、無理矢理こじあけよう としてきた)
「はい」
と言ってドアをあけて見たら男の人がタバコを吸ってた。無表情にこっちを見てきた。
「どうもー」
と言ったけど、返事は返ってこなかった。そして去っていった。ああそういう感じね~って思いながらドアを閉めた。

11時頃にホテル鹿角を出発。出発時刻が遅くなったので長距離を歩く気にもならず、ここから6キロくらい西の鹿角市街地で一晩過ごそうと思っ た。歩いてたら雨が降ってきて、こんな日はゆっくり本でも読みたいなあと思いながら歩く。昨日のこともあり、なんとなく憂鬱モードになって る。でも昨晩の同い年の友人との出会いはとっても大きかった。また会いに来たい。 中華レストランでお昼ご飯を食べて、1時くらいにはもう市街地に着いてた。さっそく敷地の交渉をしようと思うのだけど、昨日を引きずってしまってお寺に行く気にならない。どこからあたればいいか思いつかず、とりあえずまた温泉に行こうと思って、七滝温泉という所に行った。行ったら 駐車場の一角に東屋があって、そこにテントが2つ張ってあった。先客がいる。管理人のおじちゃんに話してみたら、ここは小さなキャンプ場(本 来はキャンピングカー向け)も兼ねていて、一人500円かかるらしい。管理人は
「みんなから取って、一人から取らないってわけにいかねえからなあ」
って言ってた。なので500円払った。
テントの家主はバイクで旅をしている男性2人組。前に岩手のキャンプ場でもバイク旅中の人にあったけ ど、なんかあんまり話をする気にならなかった。彼らも僕の話は聞きたがらなかった。不思議。ここでもそうだ。その二人は二人だけで旅をして おり、世界は二人で完結しているように見えた。ぴかぴかのバイクに乗ってた。キャンプ用のバーナーとか金属の食器とかも持ってた。

七滝の湯は低めの湯温で、白く濁った茶色。「硫酸塩泉」って書いてある。ここのお湯も体に馴染む感じで気持ちよかった。温度が低いのがいい。 ほんと温泉ばっかり入ってるな。
露天風呂があったんだけどそこに
「ここは露天風呂です
虫となかよくしましょう
タヌキやカモシカとなかよくしましょう
木の葉となかよくしましょう
へっぴり虫に注意しましょう」
と書いてあって、二匹のタヌキが背中を流しあってるイラスト付きの看板がある。前にも同じような看板をみたことあるような気がするな。「なかよくしましょう」ってのがいい。要するに「ここは露天風呂なんだから、他にも生き物がいますよ」ってことだ。 同じ土地で生きてるんだから仲良くしましょうってことだ。
へっぴり虫って何かと思って調べたら、あの肛門から超高温のガスを噴出する虫のことだった。図鑑でしか見たことない。
さあ明日はがんばって大館までいこう。雨がやむといいな。